京都-土壁のトヨダヤスシ建築設計事務所-土と国産杉を使う住宅医の仕事

アレルギー体質には、土壁と断熱性能が健康への近道

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「アレルギーとは一生戦いたくない。。」

私が一緒に家づくりをした住まい手は、過去を振り返り、悲痛な思い出を語ってくれました。所有しているマンションのサッシ廻りは結露が原因でカビが生え、複合フローリングは、湿気を吸わないのでいつもベタベタ。ビニールクロスは、ボンドが弱くなり剥がれ、壁にはカビが。。夏場、汗をかくと痒くなって、ポリポリ。肌がどんどん荒れていく。手を洗うと水道の塩素のせいで肌が過敏に反応。紫外線の影響で、外も出られない。要因は、衣なのか、食なのか、家なのか、よくわからず、つらい日々を送ることに。

アレルギーさえなければ。。と、住まい手は語る。

 

アレルギー体質は、要因と思われることを1つずつ除去していくことが大切。

設計者や工務店、大工は、お医者さんではないのでアレルギー体質を治すことはできません。ただ、アレルギーの要因となる素材を除去し、自然素材を中心とした家を造る、又は、造りかえることが可能です。私が設計した家で、「入居前はアレルギー症状があり、入居後アレルギー症状がなくなった事例」から、家を造る際に気をつけるポイントをいくつかまとめました。

 

自然素材利用と家の断熱性向上が鍵

アレルギー症状の要因を除去するには、「仕上げ材に自然素材を使う」「断熱性を向上させる」「風通しの良さ」の3点が特に重要だと考えています。

自然素材は、見ての通りで、天井や壁、床、建具、家具などで、無垢材や土壁、漆喰、紙、ガラス、石などを使います。ビニールやアクリル素材、特殊なボンド類は、可能な限り避けた方が無難です。

断熱性は、特に住まい手からの要望はなかったのですが、私の方で「ある一定の性能まで上げましょう」と提案をしました。

実は、アレルギー症状が家の断熱性に関係していることは、あまり知られていません。下図は、2010年頃に発表されたもので、「家の断熱性を向上させることで、病気の改善率があがる」という統計データです。データを見ると、断熱性能があがるにつれて改善率が上昇しており、要因は様々ですが、どうやら一定の効果があるようです。

せき、アトピー性皮膚炎、手足の冷え、のどの痛み、目のかゆみ、アレルギー性鼻炎、肌のかゆみ、気管支喘息、アレルギー性結膜炎の改善率が増加しています。

 

新建ハウジング2010年.7.30 vol521より 近畿大学 岩前先生の調査結果より

新建ハウジング2010年.7.30 vol521 近畿大学 岩前先生の調査結果より。調査は、2002年~2008年の間に戸建て住宅を取得した住まい手約2万人を対象にインターネット実施。「以前と変わらず症状がでていない」「出るようになった」「でなくなった」「以前と変わらず出ている」の4つの選択肢から選んでもらい、症状がでなくなった人の割合をグラフ化している。

ただ、家の仕様は様々ですし、断熱性能だけで本当にアレルギー症状が改善されるかどうかはよくわかりません。要因が多すぎるような気もします。そんな疑問もあり、実際に自分で設計した家が本当にアレルギー対策になるのか、これまで実践をしてきました。結果として、「仕上げ材に自然素材を使う」「断熱性を向上させる」「風通しの良さ」という3点にいきつきました。

 

私と一緒に家づくりをした方は、現に、マンションから、断熱性能が良い木や土壁等の自然素材を使った家に住み替えたことで、酷かったアレルギー症状はなくなったそうです。夏は涼しく、冬は暖かく、結露もほとんど起こっていないとのこと。断熱性能を上げると、窓が小さくなる傾向がありますが、窓を大きく適材適所に設けたことで風通しもよく、また、お風呂のタイル目地にカビが生えないので、とても喜ばれています。

 

特に、最近の家づくりの傾向は、

・自然素材にこだわる会社は、断熱性が低く、また、数値化(定量化)できていない。

・断熱性にこだわる会社は、窓が小さく、自然素材利用がおろそか。

と、どちらも両極端です。

住まい手が欲しているのは、それぞれの良い所をミックスしたバランスなのに、そういった家をつくる造り手が見つからないと聞きます。そんなこんなで、最近は、自然素材にこだわりつつ断熱性能を向上させ定量化し、風通しにも配慮するように取り組んでいます。

 

私がこれまで経験したアレルギー対策

以下、ピックアップしましたが、特定の方のアレルギー対策を記載しているので、人によっては無関係の場合もあるかもしれません。

随時更新をしていきたいと思います。

 

基礎に関して

基礎は、アレルギー対策と無関係と思われる方も多いかと思いますが、実はそうではありません。基礎にも造り方があり、基礎断熱にするか、床断熱にするかがポイントになってきます。基礎断熱と床断熱の違いは、検索すればたくさんでてくるのでそちらを参照してください。

基礎断熱

基礎断熱にすると、床下空間は室内とみなすことになります。そうすると、空気が回らない床下空間は、ホルムアルデヒドの濃度が高くなると聞きます。空気がまわると、空気がよどむことがないので安心ですが、暖房機などで、暖かい空気を床下に流すとホルムアルデヒドの濃度が心配。熱が加わると発散量が増えるという話も聞きます。アレルギー体質の方には、基礎の造り方も配慮をしてあげるほうがよさそうです。

床断熱

床断熱にすると、床下空間は外気となるため、床下のよどんだ空気が室内に入ってくることはほとんどありません。

 

基礎断熱と床断熱どちらの基礎も現在採用されている工法なので大きな問題はないのですが、もし、アレルギーの要因を除去するのであれば、やはり基礎断熱は避け、床断熱を選択するのがベターです。

ただ、どうしても基礎断熱にするのなら、床下のよどんだ空気を常に除去できるような仕組みが必要でしょう。

 

柱や梁などの構造材に関して

柱や梁などの構造材は、一般的には集成材が使われています。集成材は、ボンドで接着しているので気になるようであれば避けた方が無難です。国産無垢の杉や桧、松であればボンドを使っていないので安心ですが、ごくまれに、木の匂い、特に桧の匂いが気になる住まい手もいます。

柱や梁は、壁の中に隠れてしまうことが多いので、費用の面も含めケースバイケースですが、最近は、国産の無垢材も安価に購入できるので、やはり国産無垢材を選択する方が、要因を除去できるのでよいでしょう。

 

床素材に関して

一般的に使われているフローリングは、メーカーが造る複合フローリングです。ウレタン塗装がかかっているので湿気は吸いません。これが住まい手は不快だったそうです。フローリングは、常に触れる素材なので、やはり無垢材がベストです。国産の杉や桧、松、サワラ、栗などがオススメです。塗料は、自然塗料を使うのがよいでしょう。塗装済みの既製品のフローリングは、どんな塗料が使われているかわからないため避ける方が無難です。特に肌に触れる部分なので、成分や出処がわかる自然塗料を買い、自分達で塗る、塗り替えるのが一番良いでしょう。

 

壁素材に関して

壁は、昔ながらの土壁がベストです。仕上げを、土や漆喰、珪藻土にすることで自然素材だけで壁をつくることができます。工事費用を安く収めたいなら、木小舞に片面だけ土を塗る方法もあります。また、石膏ボードに珪藻土や漆喰を塗る方法もあります。

石膏ボード等の建材の使用を最小限にしたいなら、壁は、無垢材(厚板)を使うか、土壁でつくるしかないでしょう。

仕上げ材として、ビニールクロスは論外ですが、「接着するボンドの匂いは気にならない」ということであれば和紙を貼るという選択肢もあります。

 

屋根、天井素材に関して

天井は、無垢材を使うか、石膏ボード下地に自然素材を塗る-貼る方法が良いでしょう。

屋根や天井に構造用面材が必要な場合は、自然素材でできた無垢のパネルを使うとボンドを最小限に収めることができます。構造用合板を使うと水平構面(耐震性能)が確保できますが、室内面がアラワシとなると、匂いが少し気になる方もいるようです。アレルギー体質の方には、合板アラワシは避けた方が無難です。

一方で、ある特定の工法で施工すると、無垢材だけでも水平構面(耐震性能)を確保することができます。水平構面の必要強度にもよるので、全体のバランスを考慮して決めるのがよいでしょう。

 

窓、建具に関して

窓は、熱貫流率が2.33w/m2Kより性能が良い窓をお勧めします。

素材は、木製がベターです。アレルギー対策としては、樹脂系の窓は使いたくないのですが、やはり耐久性とのバランスを考えると、ここだけはアルミと樹脂の複合窓を選択方法もあります。

ガラスは、ペアが最低ラインです。

室内の建具は、既製品の安価な建具は論外です。安価な建具は、建具の中身がどんな素材で、表面の塗料はどんな塗料が塗られているかわかりません。特にメーカーがつくる海外製の建具は注意が必要です。無垢であれば安心ですが、やはり塗料は気をつけておきたいところです。

あと、建具に透明-半透明素材を使う場合は、アクリル素材は避け、ガラスを選択したいところです。室内の建具は、お子さんがいらっしゃる場合、割れた時のことも考えるとできるかぎり透明-半透明素材を避けるほうがよさそうです。

 

キッチンに関して

既製品のキッチンは、パーティクルボードを使っていることが多いので匂いが気になります。引き出しを開けた時のあれです。これが、シックハウスの要因なのかは別ですが、やはり匂いの元は除去しておきたいところ。

K社のキッチンであれば、内部をほぼステンレスで作っている商品もあります。ただ、扉面と引出底面は、パーティクルボードでした。T社のキッチンは、ほぼホーローでできています。引き出しの底面もパーティクルを使わずホーローだけで作っているとのことでした。扉面が高級なキッチンを選択する手もありますが、お値段もそこそこします。なので、一番安価なキッチンを購入し面材を無垢材に張り替えるという方法が、見た目もよく、常に触れるところが無垢なのでアレルギー体質の方には安心だと思います。ただ、保証外になってしまうのと、面材が無垢材なので、少しでも反るのが嫌な方は避けた方がよいでしょう。

 

テーブル・イス等の家具に関して

「家本体は、こだわって自然素材で造ったのに、家具を安価なものにしてしまい匂いの発生源となってしまった」という話もよく聞きます。できれば、家具も無垢材で造りたいところです。家でお金をたくさん使ってしまったので、机は安価なものにと考えてしまいますが、一番のポイントなので、ここは最後のひと踏ん張りです。

今所持しているテーブル等を、家具屋さんにお願いし、ウレタン塗料を剥がし自然塗料を塗ってリメイクしてもらうという方法もあります。または、安価に済ませるなら、無垢の天板だけを購入し、足はI社でステンレス・スチール足を購入し机にする方法もあります。

イスは、あまり安価なものはおすすめしません。少し高価と感じても、定番で長く使えるイスを購入する方がよいでしょう。デザインはもちろん、座りやすさや軽さも大切です。良い椅子は構造もしっかりしているので長持ちします。

1脚5~10万円程度のイスでも後悔はしません。

あるデザイナーのイスを試しに家具屋さんに造ってもらったことがあるのですが、本物より重くデザイン性も悪くなり、やはり本物にまさるものはないと感じました。

 

結露、カビに関して

結露が発生する要因はいくつかありますが、注意すべきは、

適切な換気計画

家の断熱性

の2つです。

前者は、例えば、調理中の水蒸気、室内洗濯物からの水蒸気、浴室や脱衣時の水蒸気を適切に排出する必要があります。換気を怠ると、特に断熱性が弱い窓に結露が発生します。結露が発生するのは日常生活上やむを得ないのですが、それを放置すると埃がつき、カビが広がっていきます。また、24時間換気は、結露対策としてとても有効です。就寝時は特に人から水蒸気が出るため、24時間換気をしているかどうかで結露の発生量は大きく変わります。

後者は、家全体の断熱性を上げる事で、結露を抑制することができます。室温が上がれば、室内で保てる水蒸気量が増えます。窓の断熱性もよくしておけば、結露の発生を軽減できるわけです。

はじめにも説明しましたが、ここが一番重要なポイントです。断熱性は、きちんと定量化をし、コストとのバランスを考慮して設計する必要があります。

土壁背面に断熱材を充填した時の結露対策に関しては、こちらを御覧ください。

 

ビニール素材に関して

ビニール素材でできているものは、除去するのがよいでしょう。ユニットバスや洗面台、コンセントプレート、照明なども要因になっている可能性もあります。

 

電磁波に関して

電気の配線は、家を造る際、壁や天井、床などにはりめぐらされています。配線をできるだけすくなくすることは可能ですが、日常生活の便利さとうまく両立したいところです。

私は、電磁波に関しては専門家ではないので詳しくはわかりませんが、基本はアースの有無のようです。アースをつけていると電磁波を除去できるという話を聞きますので、気になるところはアースを取り付けるのがよさそうです。

 

水道の塩素に関して

水道の塩素に反応する方もいらっしゃいます。塩素で反応するということは、手が洗えないですし、症状がきつい場合は、お風呂にも入れません。手を洗う場合は、浄水器(清水器)をつけるとマシになるようですが、お風呂になると水量も多いので、何か別の方法を考えないといけません。

塩素対策としては、家の全水栓に関係してくるので対策が難しいのですが、一度、水道メーター付近に清水器をつけてほしいとお願いされたこともありました。こうすると、全ての水栓に効果があります。ただ、法律上は設置が難しいという話も聞きます。これはこれで悩ましい所です。

 

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