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土壁でゼロエネルギー住宅へ(低炭素・長期優良)

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木と土壁の家で、ゼロエネルギー住宅や低炭素建築物認定、長期優良住宅の認定を取得する際のチェックポイントを紹介します。

低炭素建築物認定は、住戸床面積75m2規制なし

一般的な情報は、インターネット上で検索すると出てきますのでそちらから情報を入手していただければと思います。
1点だけ注意しておきたいのは、
長期優良住宅は、延床面積75m2以上が条件ですが、低炭素建築物認定は、床面積の制限がないため、小さな家を希望される方は、低炭素建築物認定を利用されるのが良いのかと思います。

木と土壁の家は、省エネルギー性が最重要チェックポイント

低炭素建築物認定や長期優良住宅の認定、ゼロエネルギー住宅それぞれに関わってくる基準は「省エネルギー性」です。
ここでネックになりそうなのは、木製建具と土壁ですが、それほど心配しなくて大丈夫です。

建具の性能は、木製建具=プラスチック製と、高評価が可能。

DSC_8703

木製建具は、次の数値を使い評価が可能です。

木製LOWE複層 A10以上 2.33 W/(m2K)
木製LOWE複層 A5以上A10未満 2.91 W/(m2K)
木製複層 A10以上          2.91 W/(m2K)
木製複層 A6以上A10未満 3.49 W/(m2K)
木製単板          6.51 W/(m2K)

これらの数値は、ハウスメーカーが採用しだしているプラスチック製開口部と同性能であるため、木製建具だから、低炭素建築物認定や長期優良住宅の認定が取れないということはありません。一般的にアルミサッシが多く使われているため、木製建具が使えるのか不安になりますが、性能は、木製建具=プラスチック製ですのでご安心ください。


この数年、省エネサポートセンターは、「地場の建具屋さんがつくった木製建具は別表第7の数値を使っていけない・認めない」という回答だったようですが、先ほど電話があり認める方向に変わったようです!省エネサポートセンターが、国交省に確認したところ「認めて良い」との返事だったとのこと。ただし、別表7に無い仕様の場合は、評価方法がないため評価機関の判断に委ねられることになりそうです。
評価機関によっては、「地場の建具屋さんがつくった木製建具」は、長期優良や低炭素は認められないといってきたようですが、省エネサポートセンターの回答が変わったため、今後はうまく流れていきそうです。(2015/09/04追記)


障子戸は、木製建具に性能を付加できます。

DSC_0086+

障子戸や雨戸などは、次のような数値になります。

障子 熱抵抗 0.1(m2K)/W  熱貫流率 5.55 W/(m2K)
シャッター又は雨戸 熱抵抗 0.18(m2K)/W  熱貫流率 10.0 W/(m2K)

木製建具を採用した場合、障子戸や雨戸を設けるケースが多く、木製建具に性能を付加できるという点がメリット大です。木製建具に、障子戸を設けると、単純に数値をプラスできるというわけではありませんが、以下のように性能がアップします。

木製複層 A10以上 2.91 W/(m2K)+ 障子 5.55 W/(m2K)

=熱貫流率 2.41 W/(m2K)

結果的に、プラスチック窓単体で設けた場合の性能を上回ることも可能です。

付属部材は、障子と雨戸、シャッターが評価可能です。カーテンや断熱ブラインドなど、実際には効果がある商品もありますが、住まい手が容易に取り外しできるモノは、申請上は評価できません。ただ、申請は書類だけの問題なので、実際に入居した際にどのぐらい性能が上がり、快適になるのか見える化することは、とても大切ですしオススメします。

■これ以下は参考値
ハニカムサーモスクリーン 熱抵抗 0.21(m2K)/W 熱貫流率 4.67 W/(m2K)
ダブルハニカム 熱抵抗 0.33(m2K)/W 熱貫流率 3.03 W/(m2K)
太鼓貼障子 熱抵抗 0.27(m2K)/W 熱貫流率 3.70 W/(m2K)

土壁の断熱性能

土壁の断熱性能(熱貫流率)は、下図の通り1.5~3.0 W/(m2K)程度です。
平成25年の基準値は、0.53W/(m2K)ですので、3~4倍程度性能が低いといえます。

木や土、石等の素材しかなかった時代は、土壁も優れた素材だったのですが、時代が変わるにつれグラスウールや発泡系の断熱材が開発され、こうなると、どうしても土壁の性能は見劣りしてしまいます。

土壁断熱

現在は、図のような土壁も自由に造ることができますが、2020年に省エネルギー性が義務化になると、これまでの土壁が造れるかどうかは不透明です。

義務化になっても内外真壁の土壁は造ることができるのか?

2020年の省エネルギー義務化は、熱損失と省エネに区分されるといわれています。もし、熱損失(断熱)が義務化されず、省エネだけ義務化されるなら、うまく工夫をすれば、土壁内外真壁の家を建てることができます。

どうしても土壁内外真壁の家を造りたい方、古民家にお住まいの方などには朗報ですね。又、土壁に断熱材を加えても良いと考える方は、熱損失と省エネが義務化されても問題ありません。

土壁の背面に断熱材を設ければ、ポリエチレンフィルムが不要。

低炭素建築物認定や長期優良住宅の認定では、グラスウールなどの繊維系断熱材を使う場合、一般的に断熱材の室内側にポリエチレンフィルム等の防湿層を設けないといけません。しかし、フィルムを張って、継ぎ目をテープで塞ぎ、気密を取るという家づくりに対して、抵抗感がある方も多いのではないでしょうか。

そこで、ポリエチレンフィルムを使いたくない方には、土壁という選択肢がでてきます。実は、土壁の場合は、繊維系の断熱材を充填しても、フィルムがいらないという特例があり、防湿層を不要とすることができます。断熱材さえ充填すれば、低炭素建築物認定や長期優良住宅の認定の結露対策は即クリアできます。この土壁のメリットはとても大きいです。

土壁結露

2020年に標準的な新築住宅でゼロエネルギーハウスを実現する基本計画案

ゼロエネルギーとは、暖房、冷房、換気、給湯、照明、家電、その他(調理)等の家で使用するエネルギー消費量を、太陽光発電の創エネを含め、プラスマイナスゼロにすることをいいます。昨今、ゼロエネルギーハウスと呼ばれる住宅の中には、家電の消費量が含まれない住宅もあるため、実際にはゼロエネルギーになっていない住宅もあるようです。

さて、木と土壁の家は、伝統構法であるがゆえ、ゼロエネルギー住宅にすることが難しいような噂もありますが、うまく工夫をすればゼロエネルギー住宅とすることができます。ただ、土壁であっても断熱材はきちんと充填し、太陽熱給湯や太陽光発電などを設置する必要がでてきます。

我が国は、2020~2030年にかけてエネルギー基本計画等における目標を掲げています。資源に乏しい上、原発の事故もあり、省エネルギーは急務です。私達は、将来を見据えて今何をすべきか考える必要があるでしょう。

ゼロエネ省エネ

低炭素建築物認定や長期優良住宅の認定、ゼロエネルギー住宅は、どこに頼むと良いのか?

2020年の義務化に向けて、ハウスメーカーは、ほぼ全棟対応してくると思われます。地場のトップランナーである工務店も補助金の条件で鍛えられているため、そこそこ対応はしてくれると思います。設計事務所は、格差が大きく、意匠系の事務所で低炭素や長期優良の対応をしてくれるところはとても少ないのかと思います。さらに、木と土壁の家となるとかなり絞られてくるのではないかと思います。

低炭素建築物認定や長期優良住宅の認定、ゼロエネルギー住宅のデメリット

省エネルギー性能を評価するためには、詳細な計算が必要となり、結果、費用が発生します。設計費+審査機関の技術審査量+行政への手続きを足すと、40坪の住宅で15~30万は必要になってくると思います。住宅ローン減税や登録免許税などのメリットはありますが、このメリットを活用するため、低炭素建築物認定や長期優良住宅の認定、ゼロエネルギー住宅を無理して取りに行く必要はありません。求めている家の性能が、それらの認定が取れる条件が揃っていて、メリットをうまく活かせるようなら是非オススメします。

 

(2016-06-03 画像調整)

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