京町家を旅館に用途変更する方法と京町家等の修繕を適法にする方法

京町家等の修繕を適法にする方法

用語の定義:遡及適用とは?

一定の修繕や模様替えを行う場合、原則として現行法に適合させる必要があります。これを遡及適用といいます。

DSC_4905以下は、遡及適用を受けないのでリフォームしたとしても適法で修繕が可能となります。

・瓦屋根や野地板の全面的な葺き替え

・土塗り壁の修繕(竹小舞を残す場合)
※小舞竹を直した場合は、修繕の壁面積の過半であれば、大規模の修繕にあたります。

・屋根の面積の半分以下の垂木の修繕

・急勾配の階段を現行法規に適合する階段に取換。

・柱や梁に添え柱、添え梁による補強。

・柱、梁の半数以下の修繕。

 

外観の修繕に関して。

以下は、遡及適用を受けないのでリフォームしたとしても適法で修繕が可能となります。

・モルタルから土壁にする。

・モルタルから垂木を表した軒裏に変更。

・告示仕様の防火設備に木材を張る。

・防火設備の外側に木格子を設置する。

 

用途変更に関して。

京町家を旅館等へ用途変更する場合、大掛かりな改修を行わずとも、容易に用途の変更ができます。
(大規模の修繕、模様替えに該当しないことが条件です)

2階以下、延床面積200m2未満の住宅を旅館へ用途変更する場合の事例

・延床面積100m2を超える特殊建築物への用途変更は、建築確認申請が必要です。

・防火:2階以下とし、200m2未満であれば、防火規定は適用されません。

・非常用照明、排煙設備等の避難規定を守る必要があります。

・防火地域、準防火地域の規定及び構造耐力の規定は、遡及適用されません。

・建ぺい率、容積率、高さ制限(道路、隣地、北側、高度)は、遡及適用を受けません。

・用途地域の制限は、遡及を受けます。

・消防:規模によるが、避難誘導灯、消火器の設置が必要。

・敷地内通路1.5m、特殊建築物の内装制限は適用されます。

 

旅館業法に関して。

・玄関帳簿の設置

・客室の床面積の制限

・入浴施設の設置

・洗面設備の設置

・便所の設置

が必要です。

中でも、玄関帳簿の設置に関しては、訪問者を受付するスペースが必要となります。

京都では、受付がなく、パスワードを入力してキーボックスで鍵を取って、という無人のタイプは違法ということでした。(衛生課担当者さん曰く)

 

以上、京町家できること集 より抜粋