改修前before、改修後after全部見せます。「妻のために」「父のために」家族みんなが、暖かくなった住まいに集まってくれる土壁の家@府中の家
入居からはや1ヶ月。新しく生まれ変わった家に引っ越しされてようやく落ち着かれたようです。冬の住み心地は、やはり、区画断熱した効果が目覚ましく、ものすごく暖かくなったようです。木製建具からの隙間も感じることがないとのことでうれしい限りです。
この日は、お天気もよく竣工写真を撮らせて頂きました。BEFOREの写真も一緒に紹介します。自画自賛ですが、あらためてみると、ものすごい変わりっぷりでなんだかいい感じです。
さて、南面屋外正面です。2階は、将来の2期工事としたので、1階だけ改修しています。アルミサッシを木製建具に変え格子戸もつくり、デッキを張り、玄関は、少しだけ耐震補強増築を行いました。玄関ポーチに手洗いも設けました。
改修前。昔ながらの和風の家です。30年前の家なので、アルミサッシにシングルガラスです。
アルミサッシを木製建具と格子戸にやりかえました。防犯しつつ風を通すのは基本中の基本です。網戸は、掃除が少なくて済むように室内側に取り付けています。
改修前。カーテンが閉まっているので、玄関前の松がリビングから堪能できていませんでした。
玄関は、板戸、格子網戸を組み合わせています。以前は、道路から直線的に室内が見えていたのですが、45度ほど振って視線を遮っています。このポーチまで上がれば、あとは、段差もほぼなくバリアフリーで、車いすでも行き来可能です。
改修前。玄関とポーチは、土間が下がっているので、基礎立ち上がりがつながっていないことが多く、耐震上は不利です。耐震診断では数値化できないところなので、これまでの経験から基礎を東西つなげる補強をしました。
ダイニングキッチンです。昔ながらのダイニングは、つつましく北側で食事をとるという風習があるので、今の生活スタイルとは若干異なっています。なので、南側のお日さまを取り入れられるように作り変えました。梁もアラワシにして、真壁づくり風にしてみました。左手の壁は既存土壁の上、木小舞土塗りを実践。土壁を再生(改修)する手法は、もうこれしかありません。絶対に世の中に広まるやり方です。
改修前。南に面していた応接間です。東面窓は、隣家の窓が目の前だったので壁にしました。
コの字キッチンです。天板がつながっていると回転するだけで良いので、意外と便利です。ガラスの戸棚も取り付けました。面材は、無垢のナラです。
改修前。昔ながらのキッチンです。吊戸棚は、やはり使いにくそうです。結果的に、収納量が足りないようでした。
ダイニングキッチンの見返しです。キッチン廻りは、吊戸棚を設けず、引き出し収納をメインにしました。天井は、杉本実板の赤身。綺麗です。
改修前。応接室の北側の壁を取り、南北をつなげました。
ダイニングキッチンの南面は、木の窓にしました。ひだまりスペースの床は大理石です。玄関から車イスでひだまりスペースに入り、床が大理石のところでタイヤを清掃します。車イスの方にも、補助する方にとっても優しい家です。
改修前。応接室です。正面の窓は、隣家の窓と一緒の位置だったので壁にし塞ぎました。
リビングです。広縁とつなげて、お日さまをたっぷり取り込みます。壁は土壁です。天井は和紙です。床は国産の無垢栗材です。窓は、木製建具とし、デッキとつなげています。
改修前。昔ながらの和室が隣り合った家でした。広縁もあります。
リビングの見返しです。山形になった入口をくぐると隠れワークスペースがあります。籠りたい方にオススメの場所です。右奥に見えるのがダイニングです。白い壁に飾った絵が映えます。右手の独立柱は、ヤマザクラで巻きました。広縁は、ダイニングへ通り抜けられるようにし、南面は耐力壁にしています。
改修前。玄関と階段、廊下、和室とつながっていたスペースでした。階段は急こう配だったので、勾配を緩くし付け替えています。
和室は、左手を耐力壁とし壁を塗り、天井を張り替えました。そのほかは、ほぼ既存のままです。
改修前。床の間、違い棚、書院、仏壇置き場はそのままです。
お風呂場です。ハーフバスとし、壁はタイル貼り、天井は桧としました。断熱性能も向上させたので、前よりは暖かいはず。
トイレは、車イスでも入れるトイレです。床は、車イスが回転しやすく、掃除もしやすいように大理石にしました。腰まで板壁にしたので、車いすがぶつかって傷ができてもやすりで削れば元通りです。トイレは、外へ出られるように出入口を設けました。この出入口は、介護をするようになると、意外と便利なんですよね。。
改修前。お風呂は、昔ながらのステンレスです。0.75坪なので小さ目です。トイレは、小便器があるので、車いすで奥まで入れませんでした。
荒土塗りの様子です。木小舞の上、荒土15mm、中塗り土15mmを塗ります。左写真の奥さまの部屋には、土をたっぷり塗って、土壁の蓄熱効果で温度差を小さくし、寝ている時も体に優しくなるように配慮しました。右写真のリビングは、お日さまをたっぷり取り込めるので、土を塗って温湿度をコントロール。建物1階は、既存の土壁も含めて断熱材でくるんでいるので、土の熱容量を活かした断熱性能が高い土壁の家が完成です。既存住宅に土壁がある場合の土壁再生術は、これがスタンダードになるでしょう!
当初、住まい手の奥様の介護がしやすい家をつくるということを最優先で家づくりを進めておりました。その中で、娘さんは、お母さまだけのためではなく、ご両親のために、家を治してほしいというご希望もあり、耐震性と断熱性能を向上した住み心地がいい土壁の家に造り替えることになりました。
住まい手、並びに、工事を行ってくれた工務店さん、職人さん、協力業者の皆様のおかげで、無事完成いたしました。ありがとうございました!
設計:トヨダヤスシ建築設計事務所
構造設計協力:TE-DOK
施工:建築工房en
性能値(断熱区画部のみ)
UA 0.44 W/m2・K(Q値1.87W/m2・K)
Q*(キュースター)値1.44 W/m2・K
外皮平均日射熱取得率(ηAC値) 1.2 <2.8
外皮平均日射熱取得率(ηAH値) 1.8
https://www.t-sakan.com/category/works/fuchu-ie/
<更新情報>
220321 既存写真差し替え