家を治す前に詳細調査を実施!まずは屋外の劣化状況を把握します。

住まい手から、家を治したいとのことで依頼を頂きましたので、まずは、家の状況を知るべく詳細調査をしました。リフォームをする際は、いきなり外科手術を施すようなことはせず、まずは、人間でいう血液検査やレントゲン、胃カメラ、尿検査などの調査を行います。この調査が詳細にできていると、治療のポイントが把握しやすく、工事内容に応じた工事費を算定しやすくなります。

 

さて、早速ですが、屋外の調査からです。家は、樹木に囲まれた平屋の建物です。なかなか良い雰囲気です。

 

 

屋根の軒樋を目視で確認。少し変形しています。脱落はしなさそうですが、他の部分のチェックが必要そうです。

 

 

足元を見ると壁が剥げています。元々は黒い塗料が塗ってあったようで、塗りなおせば綺麗になる劣化状況です。

 

 

縁側の化粧敷居です。角部分は、トメと呼ばれる接合部ですが、大きく隙間が・・。1cmほど開いていました。経年変化の影響のようですが、ここまで大きく開くのは何か原因がありそうです。

 

 

壁を見ていくとクラックが入っています。縦樋の固定金物から来ていそうです。このまま放置すると、竪樋から金物をつたって、モルタル背面に雨水が入り、壁が割れてしまう可能性が高いです。角の柱も腐りの原因になります。

 

 

上の方を見上げると、庇の角から割れています。割れていますが、軒があるので、雨水が入りにくく重症ではありません。一般的に、縦樋の金物からも雨水侵入しやすいのですが、軒があることで大きな被害にならず救われています。

 

 

南に回り込んで、軒裏と壁を確認。壁にクラックがありました。軒裏は、黒っぽい変色があります。原因は、天井裏に敷きこんでいた炭だったのですが、この時点ではわからず、数時間後に合点がいきました。。

 

 

少し進んで、ポーチのタイルが割れています。これはあるあるです。大地震が起こった際、タイルを張っている面の角部分だけが割れるということがよくあります。壁にも少し割れがつなっがっている模様。

 

 

壁に2mm程度のクラックが入っています。0.3mm以上あるクラックは要注意です。雨水も侵入しやすくなるので、背面に雨水が回り込んでいる可能性があります。それと、ここまで大きなクラックがあると、地盤や基礎の周囲に何も原因があるかもしれません。治療時に、基礎を要確認です。

 

 

土間にも少し大きめのクラックです。これもよくあるクラックですが、少し巾が大きいです。地盤に何かしら問題があるかもしれません。

 

 

振り返ると木塀の足元に腐りが。土間より低い位置に木部が来ているとさすがに腐りやすいですね。。

 

 

物干し金物から鴨居の角までクラックあり。壁上部のクラックはそれほど大きくありません。

 

 

床下換気口の上部にクラックあり。1mm程度です。このポーチ周辺は、腐りやクラックが多いので、何か原因があるようです。実施した治療方法を先にいうと、ここは基礎補強と一緒に地盤沈下止めを行うことにしました。

 

 

玄関の屋根と、壁がとりあう角部分が割れています。地震が起こると、このあたり割れやすいです。

 

 

玄関戸枠の角から壁が割れています。これも割れやすいところです。モルタルを塗る際に、メッシュを入れておけば防げる割れですが、思ったより割れの巾が大きいので、ここも何か理由がありそうです。

 

 

ポーチ柱の足元です。柱脚が白く変色しています。これは劣化ではありますが、比較的健全な劣化。健全な古民家でよく見かける変色です。原因は、専門の大学の先生でもよくわかならないということでした。

 

 

玄関の屋根の角から上下にクラックが入っています。角からは入りやすいですね~。軒がでているので、雨水が侵入せず助かっています。

 

 

北側へ回り込みました。建物の角から入った土間クラック。少し大きめですが、ここはそれほど重要な土間ではないので、とりあえずは安心です。それよりも奥にある竪樋の雨水の放流先が、建物内に折れ曲がっています。こちらの方がものすごく重要です。放流先がまさかの床下??改修時には、重要確認箇所となりそうです!

 

 

伸縮目地にクラックが入っています。少し大きめな割れでした。ただ、その割れよりも、右手の黒い染みが気になります。ここも後でわかりましたが、天井に敷きこんでいる炭が原因のようでした。ところどころ、壁が黒ずんでいるのは炭のせいのようです。

 

 

最後は、お風呂場の給湯器を取り換えたであろう跡です。なぜかピンク色!!!(笑) お風呂場は、腰までブロックが積まれていることが多く、柱が壁中央までしかないことが多いです。これを知っておくと、新設の柱や土台を図面に落とし込めるので、工事を行う工務店から追加費用がでにくくなります。

 

ということで、外部の劣化状況調査について、ポイントを紹介しました。

詳細に調査し、図面の精度を高めると、妥当で適切な見積もりがでるのでお勧めです。今、調査した内容は、図面に全て落とし込み、修繕するように指示をしました。

どんぶり勘定にする方が調査する手間が少なくて業者側は楽なのですが、やはり、どこにどの程度問題があり、それを記録として残しておく方が、次に治療をするタイミングや方法を検討しやすいです。

次は、屋内の劣化状況調査に続きます。