<設計趣旨>

「有松絞」で知られる名古屋市有松伝統的建造物群保存地区に建つこの建物を、有松再生プロジェクトと名付けた。  有松は、古い町並みが残る地域として皆から注目されており、6月に開催される有松絞りまつりには、約8万の来場者がある。そんな活気のある有松の旧東海道沿いの西端にこの建物は建つ。私が最初にこの土地を訪れたのは、2015年11月。旧東海道沿いの土地が売りに出されることは滅多になく、情報を聞いた住まい手が、即、土地と建物の購入に踏み切った。  それから建物が再生するまで、約4年半。まさかこれだけの期間、有松に関わることになるとは思いもよらなかった。伝建地区ということもあり、計画は、二転三転し、2018年12月から2019年1月にかけて行われた伝建審議会と有松町並み相談会での審議と協議を経て、2019年5月にようやく工事に着手することができた。  建物は、有松で培われてきた意匠性と記憶をつなぎあわせつつ、既存町家の問題点である車庫の意匠や、住まいの暑さ寒さの問題を克服した。とても長い道のりであったが、住まい手と共になんとか乗り越えることができ、2020年3月に無事、建物が完成し、有松の町並みを再生することができた。

<建築概要>

所在地名古屋市緑区有松
構造木造2階建て
延床面積207.50m2(62.76坪)
竣工2020年3月竣工
設計トヨダヤスシ建築設計事務所
施工株式会社 戸田工務店

<主な仕上>

構造材:紀州杉無垢、紀州桧無垢、120角以上 / 造作材:国産杉無垢 / 天井:豊田土半田なできり仕上(ア)4、豊田黄土切り返し仕上 / 床:国産唐松 無垢フローリング / 内壁:土壁(ア)30・豊田土半田なできり仕上(ア)4、豊田黄土切り返し仕上、国産和紙貼 / 外壁:下見板張り、漆喰金鏝押さえ、リシン吹付 / 屋根:いぶし瓦葺き、塗装亜鉛めっき鋼板(ア)0.4

<主な性能>

低炭素建築物認定取得 / 耐震等級2(許容応力度計算による)/ 断熱等性能等級5、UA値:0.54W/m²K / 一次エネルギー消費量等級5 / 内部結露判定:定常計算・非定常計算クリア

<その他>

・ウッドデザイン賞2022受賞
・第52回(令和2年度)中部建築賞 住宅部門入選
・第28回(令和2年度)愛知まちなみ建築賞
・住宅建築2024年2月号、住まい100年後の風景掲載
・日経アーキテクチュア特集!コロナ後の省エネ住宅/省エネ住宅の説明術 土壁住宅の性能を見える化掲載
・くらしかた・すまいかた Vol.30 有松再生プロジェクト 絞り職人のまちに暮らす掲載

<その他>
BLOG記事
https://www.t-sakan.com/category/works/machiya-saisei-p/