この住まいは、阪神淡路大震災後の平成10年に新築され、築16年と築年数が浅いためリフォームをするには少し早い。依頼があった際、何に不具合があるのかを知るため、まずは家の状態を把握する健康診断を行っています。調査をすると、基礎にひび割れがあり、筋交いが釘留めされておらず、耐震性能も低い。断熱性や省エネ性も現在の住まいと比べると低く、さらには断熱材全面に黒い染みがついていました。

結果的に、動線の改善、耐震性の不安さ、暑い寒いが顕著であることを理由に性能向上リフォームに踏み切りました。ただ、まだ新しい住まいであることから、リフォーム予算が限られるため、優先順序を決めて治療を行っています。

阪神淡路大震災での木造住宅の被害を受けて、職人の技能に工学的な知見が加わり、今の現代木造住宅が築き上げられてきました。これからは、造る力に加えて治す力を養わなければいけません。

<建築概要>
物件名:カンマキの家
所在地:奈良県
構造:木造2階建て
延床面積:m2
竣工:2014年3月完成
設計・監理:トヨダヤスシ建築設計事務所
構造設計:TE-DOK
施工:株式会社 じょぶ

<主な仕上>
造作材:吉野杉
天井:石膏ボードの上、クロス貼
床:栗本実板張り
内壁:鋼板サンドイッチパネルの上、左官塗、珪藻土塗り、和紙貼、クロス貼
外壁:既存のまま
屋根:既存のまま

<性能> 改修前—->改修後
平成25年基準
外皮平均熱貫流率UA値:1.56—->0.94 W/m2K
平均日射熱取得率ηC値:5.4%—->3.7%

※平成11年基準
熱損失係数Q値 :4.95—>3.17 W/m2K
夏期日射取得係数μ値:0.154—>0.106

耐震診断評点:0.16—>1.17

常時微動測定 固有振動数
東西:5.761hz—->8.000hz
南北:6.640hz—->7.421hz