竹小舞土壁の価格をご紹介します。

竹小舞土壁ってどんなものかご存知ではない方は、土壁と一言で言っても、一般の方には、どこからどこまでが土壁と呼ばれるもので、費用がどういう仕様で計算されているのかとてもわかりにくいのです。

講演をした際、懇親会などで工務店さんに土壁の価格を聞くと、

うちは、1m2あたり 8,000円や!

うちは、1m2あたり 15,000円や!

うちは、1m2あたり 5,000円や!

と、答えもバラバラです。

せっかく土壁の家にしたいと思っている方がいても、価格が不透明では使ってもらえないので、少し整理をしたいと思います。

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施工単価の目安は、手間(人工)3:材料1の割合

まず、施工単価のだいたいの内訳ですが、一般的に左官工事は手間賃の方が高く、手間(人工)3:材料1 程度の割合になることが多いです。

例えば、10m2(2.5×4m)の壁を塗るとすると、
(10m2下塗りし、乾燥させてから別の日に上塗りをするという想定)

手間:2日×20,000円=40,000円
材料:10m2×1,500円=15,000円
経費:10%=5,500円
小計:60,500円(消費税除く)

となり、手間40,000:材料15,000=8:3です。

なんとなく3:1に近くなります。

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竹小舞掻き(竹を貫に沿わせて、格子状にして藁縄で掻いていきます)

材料費と手間賃の内訳

<材料費>

材料費は、メーカー製品を使う場合と職人さんが調合して使う場合とでは価格が異なります。一般的な漆喰であれば、メーカー製品より少し安くなりますが、オリジナルで左官職人さんが調合している場合は、逆に調合品の方が高くなるケースもあります。

左官職人さんが調合する場合は、調合手間がかかるため、その費用も計上、又は、上乗せされることになります。左官職人さんは、現場での作業以外に土場での作業が必要な職種でもあるので、現場にいないからといって仕事をしていないわけではないのです。

<手間賃>

手間賃は、職人さんによって違います。特に、地域によって手間賃は異なり、郊外に行くほど安くなる傾向があります。

都市部の職人:15,000~20,000円/日程度
郊外の職人:10,000~15,000円/日程度
腕が良い職人:20,000円~30,000円/日程度

だいたいこんなところなのかと思います。

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荒土塗(室内から塗る場合と、屋外から塗る場合があります。)

左官職人さんの報酬

ベテランの方が、朝8時から18時まで働いて、MAX600万/年程度です。

1日20,000円だとして、1ヶ月25日働いて、50万円。
12ヶ月×50万円=600万円/年

という計算。

当然、雨が降ったり仕事がなかったりするとお休みになるので、その日は報酬がありません。さらにここから、自身の道具や車などを購入しないといけないので、手元に残るお金は、7~8割なのかと思います。

肉体労働で報酬が少ないとなると、若い方は敬遠しがちです。ただ、成り手が少ない上、少子化に突入しているので、これからは職人さん不足が続くであろうことから、報酬はあがっていくかもしれませんね。

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裏返し塗(表と裏を同時に塗ることをでんがくといいます。)

竹小舞土壁の単価

話は少しそれましたが、土壁の単価を紹介します。
単価は、京都左官組合の「左官工事標準歩掛・原価構成一覧」の標準単価を引用しました。

1、小舞下地掻えつり竹入共 4,000円/m2
2、荒壁塗(荒土左官手伝手間共)2,650円/m2
3、裏返塗(荒土左官手伝手間共)2,150円/m2
4、貫張り(寒冷紗) 1,240円/m2
5、壁真壁下地 土むら直し土中塗、砂灰下引シックイ仕上  4,570円/m2

計 14,610円/m2(税別)となり、結果、約 15,000円/m2程度です。

家の仕様や状況によって施工の難易度が変わるので、±10~20%を加味すると、12,000~18,000円/m2といったところです。

<仕様や状況とは?>

土壁1m2といっても、0.2m2が5つあるのと、1m2が1つあるのとでは、前者の方が手間がかかります。m2数が一緒でも、「角や入隅」があると塗り手間がかかるのです。

又、大壁で見切りがない場合も、職人にとっては困りものです。
見切りがない壁を一人で塗ろうとすると、塗った直後から壁がどんどん乾いてくるので、乾いた所と乾いていない所に継ぎ目が出たりムラがでます。なので、見切りがない壁は、多人数で一斉に塗ることになるため、余計に費用がかかってしまう場合があるので注意が必要です。

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貫伏せ(貫張り・寒冷紗を張ってから土や漆喰を塗る作業)

その他の単価

その他の仕上げは、以下の価格を参考にしてください。
上記、竹小舞土壁の単価1~4に、以下の単価を加えると施工単価となります。
(単価は、京都左官組合の「左官工事標準歩掛・原価構成一覧」の標準単価を引用)

大津壁塗 ともちり程度 6,000円/m2(16,000円/m2)
のり土塗 ともちり程度 65,00円/m2(16,500円/m2)
京壁本じゅらく塗 ちり打共 16,970円/m2(26,970円/m2)
京壁磨塗 ちり打共 23,800円/m2(33,800円/m2)

( )内は、小舞下地、荒壁、裏返、貫張りの合計約10,000円に、それぞれの単価を加えた価格。

チリ回りにヒゲコやのれんを使う場合は、以下の単価がプラスされます。

ヒゲコ打、チリ回り共 2690円/m2
のれん打、ちり回り共 2870円/m2

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ちゅうごめ(一般的には、むらなおし・おおなおしと呼ばれています)

地域による価格差

地域によって竹小舞土壁の価格は変わります。
例えば、3:1の法則で、小舞下地掻えつり竹入共 4,000円/m2を分解すると

手間3,000円:材料1,000円 となります。
郊外は手間賃が安いので、20,000円/日が、10,000円/日で可能と仮定すると手間賃は半額になります。

結果
手間3,000円×0.5(半額)=1,500円
手間1,500円+材料1,000円=2,500円
となり、

一般の単価4,000円/m2より1,500円/m2も安い、2,500円/m2で可能となります。
手間賃が、都市部と郊外とで変わるため地域差は大きくでるわけです。

地域によって、土壁の価格が違うのは、このことが影響していそうです。

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上塗り(上塗りの下処理を砂漆喰で行っています)

土壁は、クロス仕上げとどのくらいの価格差なのか?

一般の方が一番知りたい情報です。
クロスと土壁では、素材が持っている性能や耐久性などが違うので比べるのは難しいのですが、単純に施工費だけで計算をします。

条件は、約30坪程度の木造2階建ての住宅。壁の面積111m2、工事費2000万円の家です。
外壁の仕上げは、サイディングに統一しました。(3の内外真壁を除く)

1,クロス仕様:

ビニールクロス、石膏ボード、グラスウール24K100mm、透湿防水シート、胴縁、サイディング
約120万円(約8,000円/m2)

2,竹小舞土壁仕様:

漆喰、竹小舞土壁、羊毛50mm、透湿防水シート、胴縁、サイディング
約250万円(約22,300円/m2)

3,内外真壁竹小舞土壁仕様:

漆喰、竹小舞土壁、漆喰
約210万円(約19,000円/m2)

4,内壁薄塗仕様:

珪藻土、石膏ボード、羊毛100mm、構造用面材、透湿防水シート、胴縁、サイディング
約145万円(約13,000円/m2)

5,木小舞片面土塗り:

漆喰、木小舞土塗、羊毛68mm、構造用面材、透湿防水シート、胴縁、サイディング
約200万円(約18,000円/m2)

もし、クロス仕様の2000万円の家を竹小舞土壁の家にしたいのなら。

上記1「クロス仕様」を、上記2「竹小舞土壁仕様」に変更することになるので、

250万-120万=130万円
2000万+130万=2130万で土壁の家が可能となります。

もし、クロス仕様の2000万円の家を木小舞片面土塗の家にしたいのなら。

上記1「クロス仕様」を、上記5「木小舞片面土塗り」に変更することになるので、

200万-120万=80万円
2000万+80万=2080万で土壁の家が可能となります。

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上塗り(砂漆喰で下処理をした直後に、追っかけて上塗りをします)

まとめ:家づくりの費用を総合計で考えると、80万~130万程度のプラスで土壁ができることになります。

高いか安いかは、住まい手の気持次第ですが、2000万円の家の消費税は160万円(8%)ですし、考えてみると消費税よりも安いんですよね。

一方で、家の壁全てを土壁にしないといけない決まりはありません。
LDKの壁の1間分だけを土壁にすることも可能です。こうすると、5~10万円程度で収めることも可能ですので、土壁ができないと思い込み、土壁の家づくりを諦めないでください。

 


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2020-02-14 ハンドブック追記
2015-09-15 豊田記