土壁や漆喰等の左官素材は、何からできているのか?

今回は、素材の話です。もしルワでお馴染み?の、博士・みなみの2人の会話で紹介したいと思います。

博士「自然系(土物)の左官素材を6つに分類してみたよ」

みなみ「こうして整理をするとわかりやすいね」

tuchi-syurui


博士「今は、メーカー製品があるので、すでにこれらが調合されて販売されているんだ。昔は、そんな便利な調合品はないので、素材をひとつひとつ吟味し混ぜて作っていたんだよ」

みなみ「調合って難しいの?」

博士「難しいよ。マニュアル通り分量を計って混ぜても、違うものができるからね」

みなみ「なんで?混ぜる分量が一緒だと、同じものができるんじゃ?」

博士「左官素材って、気候風土に影響されるので、その都度、微調整をしなければいけないんだよ」

みなみ「それは大変。夏と冬、朝や昼とかで、分量や混ぜ方を変えないといけないとなると、それなりの経験が必要そうだね」

博士「そうだね。こういった技術は、左官職人さんだけじゃなく、大工さんや建具屋さんなど他の職人さんにも共通することだし、それを活かせる場が少なくなっている現代は寂しいよね」

みなみ「たとえば、漆喰をつくる場合は、どの材を混ぜればいいの?」

漆喰

博士「漆喰はね、石灰と水、スサ、糊を混ぜてつくるんだよ。砂漆喰にしたければ、それに砂を入れれば良いよ」

博士「わかりやすいように下の図に、土塗(聚楽)、漆喰壁、大津壁の材料をまとめてみたよ」

tuchi-sikkui

みなみ「へ~。土は石灰が入っていないのね。漆喰には土が入っていないし。大津壁は、土と石灰の両方が入っている」

博士「そうなんだよ。良い所に目をつけたね。まさにその通りで、石灰と土の差なんだよ」

博士「ただ、土といっても、稲荷土や本聚楽土、大阪土、九条土、京白土など色々あるし、配合は無限に広がるんだ」

みなみ「なんだか、お好み焼きみたいだね(笑)」

博士「・・・」

みなみ「土塗に、水捏ね、糊捏ね、糊差しってあるけど、これは何?」

博士「これは、土を塗るときに、糊をいれるかどうかだよ。水捏ねは、糊を入れずに水だけで混ぜる方法。糊捏ねは、粘性土の高い糊で混ぜる。糊差しは、水で混ぜた土に、糊を後から少量入れる方法だよ」

本聚楽糊差し仕上げ材料

みなみ「どれが一番難しいの?」

博士「糊の分量が経験によって変わるから糊差しが難しいのかな。ただ、実際に塗るのは、水捏ねが一番難しいんだよ」

みなみ「え?水だけで捏ねているものがなんで難しいの?」

博士「それは、水引が関係するからだよ」

みなみ「水引?」

博士「左官素材って塗った直後からどんどん乾燥してくるんだよ。水捏ねは、特にその乾燥が早いので、すばやく綺麗に塗らないとムラができる。だから、熟練の左官職人じゃないとうまく塗れない」

みなみ「どの職人さんでもできるってものじゃないんだね」

博士「そうなんだよ。左官職人さんによっても得意不得意があるからね」

博士「あと、糊差しや糊捏ねは、糊を入れると、水持ちがよくなるので、少し塗りやすくなるんだ」

みなみ「素材には色々な意味があるんだね」

博士「そう。それが左官の奥の深さだよ」

みなみ「ところで、素材の上に英記されているから外国の方にもわかりやすいね」

博士「ああ、これね。セミプロに翻訳してもらったので、消すのもったいないしそのままにしてるんだ。」

みなみ「日本の左官素材も、世界に発信できるっていいことだね。」

博士「お好み焼きにはビックリしたけど、たまには良いこと言うね!」

 


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