温暖地vs寒冷地。土壁に断熱材を付加した際、内部結露するかどうかを非定常計算で解いてみる。

昨日は、大阪のATC(アジア太平洋トレードセンター)で行われる、非定常(熱・湿)気計算の講習会に参加しました。

ATC久しぶりです。トレードセンター前に行こうと思うと、コスモスクエア駅で乗り換えが必要。少し行きづらい場所です。

 

さて、今回の講習は、テキストも新しくなったようで、以前の講習と少し違うような話でした。

すでにソフトは持っていて使っていたのですが、フラウンホーファー建築物理研究所(IBP)から田中さんが講師として来日されているので、受講してみようと申し込みをしました。

シミュレーションをすることで、土壁の熱と湿変化を解析し、設計の勘を身につけようと思います。

 

事務所に戻り早速実践。土壁+断熱仕様で入力します。

まずは、温暖地の京都(左図)と寒冷地の札幌(右図)で比較してみました。
左から、モルタル+通気層+面材+繊維断熱+木小舞+土+土という構成です。

京都(左図)は、壁体内に大きな変化はありません。

札幌(右図)は、面材と繊維断熱間で、壁体内の相対湿度が高くなっています。

図それぞれの一番左のグラフは、外壁面にあたる雨水によりグラフが高くなっています。また、IBPでは、1%の雨水が通気層から侵入しているとして計算するので、同様の計算をしています。

 

温暖地の京都と寒冷地の札幌の非定常(熱・湿)気計算結果

私が採用している土壁仕様は、外気温が下がる札幌(右図)では、面材と繊維系断熱材の間の相対湿度が95-98%ぐらいまであがりました。

土壁を使うと水蒸気を通すため、外部側面材と繊維断熱間でリスクが高まるようです。

温暖地では、通常の定常計算でクリアしていればよいかもしれませんが、寒い地域で土壁を採用する場合は、定常計算に加え、非定常計算をしておいたほうがよさそうです。グラフは、面材や断熱材の仕様のよって大きく変わるので、この結果を鵜呑みにはせず、1軒1軒シミュレーションをしましょう!

 

講師をしていただいた田中絵梨さんは、以下のようにコメントされています。以下、引用。

イマドキの防湿計画とは?

防湿計画とは、躯体の中に湿気を入れないようにすることではない!
防湿計画とは、普通に丁寧に行う施工技術レベルで、
1、湿気が長期的にたまらない。
2、一年を通して、湿気による害が生じない程度のレベルに抑えておく
ことである。

近代的な防湿の原則:
必要なだけ湿気を通さず、しかしできるだけ湿気を通しやすく!
防湿–>調湿

 

私もこの意見に賛成です。