土壁に相性が良い断熱材はどれか?土壁に外断熱、外張り断熱!5つの実践事例紹介。

土壁に断熱材を充填・外張りする設計をしはじめて、13年が経ちました。徐々にその良さが広まってきたので、実践事例をとりあえず5つ紹介したいと思います。

  • 土壁外断熱:ウールブレスバージン充填(真壁仕様)
  • 土壁外断熱:ウッドファイバー充填(真壁仕様)
  • 土壁外断熱:パーフェクトバリア充填(大壁仕様)
  • 土壁外張り断熱:フェノバボード外張り(受桟仕様)
  • 土壁外張り断熱:鋼板サンドイッチパネル外張り

この5つは、いずれも私が実践した手法ですので、このほかにも色々な充填・外張り断熱の手法が存在します。
現に、私も、これ以外にいくつか実践しているのですが、土壁に断熱材を充填する瞬間の写真がないので紹介できない・・・。今後、タイミングよく撮影できれば、どんどん増やしていきたいと思います。

 

土壁外断熱:ウールブレスバージン充填(真壁仕様)

土壁の外側にウールブレスバージン100mmを充填しています。ウールブレスバージンは、羊毛とポリエステルでできています。

真壁だと土壁背面は30~60mm程度の奥行きとなります。奥行60mmの場合、ウールブレス100mm厚を充填してもなんとかおさまります。

熱伝導率は、0.040W/(m・K)です。厚みは、60、100、120、140、185mmの製品があります。

押し込んでいれると性能が下がるという話もありますので、100mm充填しても60mmで計算するほうが良いです。

 

土壁外断熱:ウッドファイバー充填(真壁仕様)

土壁の外側にウッドファイバー50mmを充填しました。ウッドファイバーは、針葉樹が原料でその木の繊維を固めた素材です。

熱伝導率は、0.040W/(m・K)です。厚みは、50、90、100、120mmの製品があります。

ウッドファイバーは、密度が 55kg/m²あるので、押し込んで充填はできないと思ってください。でも、繊維系の断熱材の中でも隙間が少なく充填できる唯一の自然系の断熱材です。

 

土壁外断熱:パーフェクトバリア充填(大壁仕様)

土壁の外側にパーフェクトバリア13k120mmを充填しています。パーフェクトバリアは、ポリエステル100%の素材でベッドのクッションなどに使われているそうです。

熱伝導率は、0.039W/(m・K)です。厚みは、100、106、120mmの製品があります。

パーフェクトバリア13kは、ウールブレス同様フワフワした素材ですので押し込んで充填可能です。写真のように片面塗りの場合は、押し込むと追従して充填され、かつ、土壁の凸凹がズレ止めにもなります。

 

土壁外張り断熱:フェノバボード外張り(受桟仕様)

土壁の外側にフェノバボードを外張りしています。フェノバボードは、通称:フェノールフォームと言われ、今、日本で発売されている断熱材の中でも最も熱伝導率が良い部類の素材です。

熱伝導率は、0.019W/(m・K)です。厚みは、標準品で20~63mm、90mmの製品があります。

フェノバボードは、ボード材なので、カットして胴縁等にぴったりはめ込むことができます。ただ、竹小舞土壁で厚みがある場合、柱間のチリ部分に充填しようと思うと、土壁が凸凹しているので、薄い厚みの製品を使わないといけません。ですので、この場合は、柱の外側に張る方手法が施工性よくオススメです。写真は、改修なので縦胴縁が入っていますが、胴縁が熱橋になるので、胴縁無の外張りをオススメします。

 

土壁外張り断熱:鋼板サンドイッチパネル外張り

土壁の外側に鋼板サンドイッチパネルを外張りしています。鋼板サンドイッチパネルは、表面(両面)が、ガルバリウムで、内部はポリイソシアヌレートフォームです。

熱伝導率は、0.019W/(m・K)です。厚みは、35mmのみです。

鋼板サンドイッチパネルは、耐力壁として倍率を取得しているで、この1枚で断熱性能と耐震性能を付加できるのが特徴です。自然素材より、性能重視の方には適しているのかもしれません。
 

まとめ 土壁に相性が良い断熱材はどれか?

基本、優越はつけられないので、それぞれの住まいづくりの方針で決めることになります。

 

自然素材派は、ウールブレスバージンや、ウッドファイバーなどの自然系断熱材をオススメします。

性能重視派は、フェノールフォーム等の外張りがオススメです。

無機質派は、パーフェクトバリアですかね。ベッドと同じ素材ですし、安心する方もいそうです。

 

ただし、いずれの断熱材を選択したとしても、数値はきっちり押さえておくことを忘れずに!!!!

  

  • 土壁外断熱、土壁外張り断熱の性能は、紹介した手法それぞれ、熱伝導率だけを記載したので、壁厚や素材、土壁の厚さなども考慮して、総合的な熱貫流率を計算してみてください。
  • 当然ですが、断熱だけを意識しすぎると防露でNGをくらうこともあるので、防火や耐震、気密や漏気なども含めて総合的に判断が必要となります。
  • ちなみに、土壁の熱伝導率は、0.69W/(m・K)ですので、断熱材との差は歴然です。
  • 壁の熱貫流率の基準値は、0.53w/m2・Kですので、熱伝導率に厚みを考慮し、この数値をクリアするかどうか、また、その程度の数値になっているかどうかを確かめてみてください。
  • 厚み60mmの内外真壁の土壁だと、3.76w/m2・Kですので、0.53w/m2・Kには遠く及びません。断熱付加しないと熱の損失は大きいです。
  • 一方で、自然素材派で住まいづくりを進めたい方は、土壁にすこしだけ断熱付加するだけでよいという方もいらっしゃるので、そういった方は、天井や床、窓などで、壁で不足する分を補う方法もあります。性能を少し整理するだけで、熱の損失は少なくなります。


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では、快適な土壁の住まいがつくれることを願っております!

 


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