現代の土壁!木小舞下地に片面だけ土を塗る手法。木小舞片面土塗りの注意点。木と木の隙間は21mmが良い。木の上に中塗土はNG。

木小舞片面土塗りの問い合わせが増えてきました。工務店さん、左官屋さんともに木の上に土を塗る経験がなく皆さんお困りのようですので、下図チェックポイントをまとめてみました。私が実践している手法なので、これが正解というわけではないですが、何かの参考にはなるかと思います。

下の写真は、日本最古の木造建築である奈良の法隆寺です。

法隆寺の土壁は、実は、竹小舞下地ではなく、木小舞の上に荒土を塗っています。。私が実践している木小舞片面土塗りは、私が考案したものではなく、法隆寺と同じようなやり方で、木の上に荒土を塗った土壁なのです。少し現代仕様に変えていますが、法隆寺の土壁を踏襲しているということをまずは覚えておいてください。

  

木小舞片面土塗りは、一般的な竹小舞に土を塗る方法とほとんど変わりません。昔ながらの土壁を施工できる左官職人さんがいれば、なんら問題なく施工可能です。ただ、下地の造り方を勘違いしていることが多いので、工務店さんと大工さん、左官屋さん、設計者の連携がとても重要になります。

上図で特に重要なポイントは、

1、隙間は、18mm以上とすること。
オススメは、21mm程度です。24mm~27mmだと少し土が外部側に出すぎます。木摺漆喰の下地のように6mmの隙間をあけて下地をつくるケースもありますが、これだと荒土が隙間に入り込まないので剥がれの原因になります。

2、木摺の上に、中塗土を直接塗らないこと。
昔ながらの竹小舞土壁の造り方どおり、荒土塗り、中塗り、上塗りという順序で塗る方がよいです。昔は、木摺の上に、荒土を塗らず、中塗土を塗っていたことがあったのですが、木と土はくっつかないので剥がれや浮きの原因になりました。

木摺のような壁下地なので、「木摺」と大工さんに伝えると、隙間6mm程度の狭い木摺壁ができてしまいます。漆喰を塗る場合は、これでよいのですが、土壁の場合は、土が回り込まないので避けたほうが無難です。


下写真は、築40年以上の木摺土壁です。昔は、荒土を乾燥させる時間を短縮するために、木摺に中塗土を塗っていた時期がありました。父が生前、木摺の上に中塗土を塗る手法は、あまり良い仕事ではないと言っていました。漆喰が品不足の時に、漆喰を混ぜずに中塗土を塗っていたこともあるようです。

 
 
下写真は、比較的新しい木摺壁です。写真を見ると、木摺に中塗土を塗り、上塗りに土を塗り、仕上げています。上の施工写真と比べてもわかるように、剥がれた部分に長いスサが見当たらないので、荒土ではないようです。私が施工したわけではないので、剥がれた原因はわかりませんが、外部なので、雨水の侵入もあったのかもしれません。

こうした状況を見てわかるように、木の上に土を塗る場合は、木と木の隙間をしっかりあけ、ワラスサが入った荒土(砂なし)を塗ってあげることが重要になります。

 
 
以下は、私が、実践している木小舞片面土塗りです。
木小舞の木の隙間は、21mm程度あけて、間柱と柱に留め付けています。この壁は大壁にしたので、土の回り込みを考え、柱に8mmの材をかませて木小舞の下地をつくりました。ぶら下がっている藁縄は、割れ剥がれ留めに使用しました。(この、ぶら下がっている藁縄は、効果が低そうですので、今は採用していません。)

 

裏面です。片面塗りの場合は、木小舞から土がはみ出るように塗ります。裏返しは、してもしなくてもどちらでもよいかと思います。ただ、飛びだした土をコテで慣らすのは引っかかりが少なくなるので避けたほうが無難です。荒土のワラスサは、鉄筋コンクリートの鉄筋のような役目をするので、実はこのワラスサはとても重要だと思っています。(大ベテランの京都の左官職人さんにも聞いたところ、「ワラスサ多い方がいいね」という意見でした。)

 

荒土が乾燥すると、こういったひび割れがでます。これが乾燥したというサインです。

 

裏面です。乾燥するとグレーっぽい色に変わります。この色に変化するまでは、外部は閉じないようにしています。左官屋さんがここにこだわる理由は、荒土が未乾燥のまま、中塗、上塗と仕上げると、室内面の仕上に割れがでるからです。荒土が乾燥して割れてくると、仕上に影響するのは容易に想像がつきます。

外部の雨仕舞ができないので、作業が前後することで大工さんが手待ちになることも考慮して工程をつくる必要があります。

 

そして、断熱材を充填していきます。

土がデコボコしているので、繊維系の断熱材を充填するほうがしっかり充填できます。土が断熱材のずれどめをしてくれますし、太陽の強烈な日射からも断熱材を入れることで土を守ってくれます。

注意点ですが、

外壁の外部側を仕上げてから柱間に断熱材を充填し、そのあとに木小舞材を取り付け荒土を塗ろうとする方もいらっしゃいます。これだと、土に含まれる水分が壁の中に溜まってしまうので、壁の中にカビが生えやすくなります。(※季節にもよるので生えない場合もあります。)また、土の乾燥も遅くなります。ですので、昔ながらの竹小舞土壁の工程と同様に、できる限り土を乾燥させてから外部仕舞をするほうが良いかと思います。

 

荒土が乾燥した跡に、中塗土を塗ります。荒土は、荒土と長いワラスサ、水を混ぜてつくりますが、中塗土は、中塗スサと砂が入ります。砂が入ると固くなる上、粘性土が弱くなるので、荒土のようなひび割れが少なくなります。スサは、荒土よりも短い中塗スサを使うので、古い土壁が荒土なのか、又は、中塗土なのかは、スサを見ることである程度は判断できます。

この工程を終えると、土の厚みが30mmとなるので、防火構造(室内側)を確保することができます。もし、中塗で終えたい場合は、これで完了です。
(※注意点:中塗りで終える場合、切り返しで終えるのか、中塗で終えるのかによって、費用と質感が変わるので注意してください。一般的には、中塗仕上と呼ばれていますが、切り返しとしている場合、中塗で終えている場合、職人さんによって様々です。)

 

最後に上塗りです。ここまでくればあとは石膏ボード下地と同じような工程です。貫はないので、貫伏せ作業はなく、工程を短くできるのがメリットです。
写真は、珪藻土塗りです。先行して白い下塗り材を塗ってから上塗りの珪藻土を塗っています。土を塗る場合は、水ごね、糊ごね、糊差しを選択することになります。

 

以上が、木小舞片面土塗りの注意点と流れでした。

土の種類は、各産地で違いますし、職人さんの考えや経験も各地域で違います。

私が実践している「法隆寺の土壁を踏襲した木小舞土塗り手法」を参考にしつつ、現地の職人さん達としっかり話し合って進めてください。

 

 
 
 


土壁は、「どんな素材があるのか?」「土の蓄熱効果は?」「今も土壁つくれるの?」「土壁と断熱を組み合わせる理由は?」など、よくわからない点が多くハードルが高いと感じませんか?「石膏ボードや新建材を使わない、自然素材だけの家はつくれないの?」という思いから、家づくりを行う際に必要な情報を家族みんなで共有できるように、住まいづくりハンドブックをつくってみました。土壁の家をつくってみたい住まい手は、資料請求フォームから「住まいづくりハンドブック」(無料)をお申込みください。

 

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(更新状況)
(2021-01-20 断面図を最新のものに差し替え。文章、一部修正)
(2020-08-22 土壁断熱相性 リンク挿入)
(2020-02-14 ハンドブック追記)
(2020-01-10 更新)