土壁背面に充填する断熱材は何が妥当なのか?非定常計算で壁の中の相対湿度の変化を確かめてみた。

土壁背面に充填する断熱材の中で相対湿度があがりにくい断熱材は何がよいのかシミュレーションをしてみました。

基本仕様は、外部から
モルタル20mm、通気層21mm、MDF9mm、断熱材60mm、土壁38mm
としました。

断熱材は、左から、
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS) 、グラスウール、羊毛
の3種です。

諸条件は、通気層の換気と雨水侵入を考慮

地域は、京都市です。温暖地というのがポイントです。
諸条件は、WUFIでこまかく設定しているのでここには書きませんが、通気層の中は適度に換気されていることを考慮しつつ、通気層から雨水が入りMDFに染み込むよう設定にしてあります。
なので、この結果を見て、自分に良いように理解しないようご注意ください。

土壁の背面が羊毛の場合

MDFと羊毛の間で相対湿度が上がりました。88%程度です。土壁と羊毛間は、80%程度でこれ以上あがることはなさそうです。羊毛の外部側をMDFで蓋をしているので、他の素材より含水率は少し高くなります。外壁面は、雨水があたるので湿度は100%を超えていますが、通気層内は思ったよりあがりません。

土壁の背面がグラスウールの場合

MDFとグラスウールの間で相対湿度が上がりました。91%程度です。MDFとグラスウール間の相対湿度は、羊毛の場合より3%ほどあがっています。結果としては、自然系断熱材を採用するほうが少しだけリスクが低くなるようです。

土壁の背面がビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS) の場合

MDFとEPS間の相対湿度は、上の2件と比べても一番低くなりました。80%程度です。壁の中は比較的安定しています。

結論

3年間ほど内外温湿度を変化させた結果、いずれも規定の相対湿度98%超えることがありませんでした。あがっても90%程度までです。

壁の中の相対湿度だけを考えるなら、湿度が低い順に、EPS<羊毛<グラスウールという順になります。

ですので、土壁背面に断熱材を充填しMDFで塞ぐ場合、この3種の断熱材では、大きな被害にはなりにくいようです。

ただ、今回は京都でのシミュレーションになるので外気温が低い地域は要注意です。MDFより水蒸気が通りにくい面材にした場合も再計算が必要です。

温暖地である前提ですが、断熱材の種類の決定は、性能を優先するのか、自然素材を優先するのか、住まい手の考え含めて決定するのが良いでしょう。

番外編

先程の壁構成で土壁を取りやめてみました。

基本仕様は、外部から
モルタル20mm、通気層21mm、MDF9mm、グラスウール88mm、PB10mm
としました。グラスウールの室内側に防湿フィルムはありません。

結果、MDFとグラスウール間は、相対湿度が97%ぐらいまで達しています。京都市の場合、防湿フィルムがないとリスクは高いです。もし、MDFが構造用合板になると透湿抵抗が高くなるので・・・・。想像は容易です。

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