この住まいは、木と土で治すことをテーマに、中間領域となる既存空間を残しつつ、区画断熱改修を実践したプロジェクトです。
住まい手は、玄関と中廊下、和室に思い入れがあり、そこは触わらずLDKと水廻り、寝室の改修を望まれていました。ただ、中廊下は、区画断熱範囲に含めないと性能が確保できないため、見え掛かりの柱はそのままとし、フローリング材だけを一旦取り外し、基礎補強と断熱付加が終わったあと同材で復旧しました。玄関と和室は、断熱区画外とし、はんなりとつながる中間領域をつくりました。
 京都府産材は、構造補強材(柱や土台)、造作材、土壁の木小舞下地、外構材に使用しています。土壁は、新たに木小舞下地をつくり、荒土と中塗土を塗り、仕上を京土の切り返しとしました。
 京都に建つ既存建物は、中間領域をつくり既存を一部残すことで記憶をつなぎ、又、木の家は木で治すことがこれからの民家再生に望まれていることだと確信したプロジェクトでした。

 

<建築概要>
所在地:京都市
構造:木造平屋建て、改修
延床面積:111.11m2( 33.61坪)
 内、区画断熱改修部分:74.41m2(22.51坪)
竣工:2023年6月竣工
設計:トヨダヤスシ建築設計事務所
施工:竹内工務店
 

<主な仕上>
構造材:京都府産杉、京都府産桧、120角以上
造作材:京都府産杉
天井:国産珪藻土塗り、国産杉本実板張り、EP塗り
床:国産栗 無垢フローリング、吉野桧フローリング
内壁:土壁30mm、京土切り返し仕上、国産珪藻土塗り、EP塗り、国産和紙貼
外壁:モルタルの上、リシン吹付
屋根:現状のまま 
基礎・地盤:新設抱かせ基礎補強、2重管ストレーナー工法
 

<性能>
平成28年基準 外皮平均熱貫流率UA値:0.48 W/m2K(断熱区画部)
 冷房期 外皮平均日射熱取得率ηAC値:1.7%
 暖房期 外皮平均日射熱取得率ηAH値:2.1%
相当隙間面積 C値 :天井に敷かれた炭が散乱するので未計測
耐震診断:改修前0.1 改修後1.06
内部結露判定 :クリア
 

<その他>