この住まいは、木や土壁など自然素材を使ったゼロエネルギーハウスです。地域材である奈良吉野・紀州の木材をふんだんに使いつつ土壁に羊毛を加え、家の断熱性を高め、冬暖かく夏涼しい、結露で困らない家を目指しました。土壁の蓄熱性を生かしつつ、太陽光発電や太陽熱温水システム、潜熱蓄熱材などを利用しエネルギーに配慮しています。

昨今、雨の日にも窓が開けられる家が少ない中、軒庇をつくることで雨天時や就寝時にも風が通せ、かつ、雨や太陽による壁の劣化を軽減できます。構造設計により南面は全面開口とすることで、冬は太陽熱の集熱量を増やし、土壁で熱を蓄え、羊毛の断熱性能を活かし熱を逃がさない工夫をしています。

伝統的な土壁を現代の技術と知見を駆使し、それを実現できる職人の技能によりこの家は出来上がっています。

<建築概要>
所在地:奈良市
構造:木造2階建て
延床面積:149.01m2(45.0坪)
竣工:2015年6月竣工
設計:伊藤吉郎+トヨダヤスシ建築設計事務所
施工:ツキデ工務店
左官:豊田工業所

<主な仕上>
構造材:紀州杉
造作材:吉野杉
天井:Jパネル、針葉樹合板
床:吉野桧本実板板張り
内壁:土壁の上、砂漆喰塗り・珪藻土塗り、中塗り切り返し仕上げ
外壁:リシン金ゴテ押エ、焼杉板張り
屋根:塗装/亜鉛めっき鋼板

<性能>
平成25年基準
外皮平均熱貫流率UA値:0.55 W/m2K
平均日射熱取得率ηC値:1.8%
一次エネルギー消費量:482MJ/(m2・年)< 省エネ基準値 731MJ/(m2・年)
参考:178.48kwh/(m2・年)

※平成11年基準
熱損失係数Q値 :1.91 W/m2K
夏期日射取得係数μ値:0.046

<その他>
平成26年度 住宅のゼロエネルギー化推進事業
低炭素建築物認定取得