神戸市垂水区で既存住宅の詳細調査、既存ドックを行い、その診断内容を元に住まいの快適性を向上させたプロジェクトです。木造建築病理学に基づき調査~改修設計~工事を行いました。部屋を明るく広くしたいという要望から、LDKを一体の空間にし、部屋の端から端までが見渡せる家としてみました。又、庭にはデッキを設けることで、LDKから畳の間へのつながりを持たせています。
既存ドックとは、人間ドックの建物版です。人間ドックは、体に悪いところがないか調べるために受診するわけですが、既存ドックは、その建物版で、建物の調査を隅々まで行い建物の状態を総合的に診断します。診断内容は、5cm厚程度の診断レポートにまとめ、住まい手にお渡しし建物の状況について説明します。そして、この診断内容を元に、建物の悪い点・改善したほうがよい点を提案し、予算に見合った工事をバランスよく行います。最近は、診断せずに工事をしたり、1時間ほど建物を見るだけの方など多くいますが、やはり大切住んできた家ほど、念入りに調査をし、納得いく説明をうけ、工事を行わないといけません。古い家だけど壊すのはもったいない、なんとか改修して住み続けたいということであれば、是非、住宅医にご相談ください。

家の性能で改善された点は、耐震性能が基準法の1.25倍に確保。断熱性は、元の家がQ値=4.68w/m2・K、μ値=0.068だったのに対して、Q値=2.41w/m2・K、μ値=0.032にアップしています。断熱性を上げることで、建物からの熱損失が防げ、夏や冬のエコアン使用を節約できます。又、春や秋の心地よさ、夏の風通しの効果を確認するため通風シミュレーションを行っています。このシミュレーションを行えるのは、設計者の中でもほんの一握りです。自分の目で通風効果が確かめられるのがとても良いところです。
この家で、築30年です。細かな補修は行ってきたそうですが、建物全体でのリフォームは初めてとのこと。この家を建てた不動産業者さんが「そろそろリフォームされませんか?」と、付近を回られていたのがきっかけで、お話を頂いた経緯があります。