庭師、木船昌夫のしごと@南禅寺の家、京都景観賞-京町家部門-市長賞受賞作品

南禅寺の家が、令和元年度-京都景観賞 京町家部門-市長賞を受賞しました。受賞にあたり、庭がとても大きなファクターとなったことは言うまでもありません。庭をつくってくれたのは、木船昌夫さん。 木船昌夫さんは、南禅寺の家の庭をつくった2年後の2013年10月27日に、59歳という若さで亡くなられました。その功績に感謝の意を表し、庭師である木船昌夫さんの仕事を紹介したいと思います。


この庭は、2012年11月7日に撮影しました。竣工1年後です。木船さんは、「庭が完成するまで5年かかる」と、おっしゃっていました。1年でこの状況ですから、あと4年待つとさらに素晴らしい庭になったことは間違いありません。

 
和室から庭を見ています。とても落ち着きます。
2012年12月18日の写真です。紅葉が終わり、葉が散っていますが、それでも庭の豊かさが感じられます。

2011年9月21日 木船昌夫のしごと はじまる

2011年9月、庭づくりが始まりました。まずは、石の搬入です。

平板と延べ石が準備されています。庭に並べてみて、この石は合わないという理由で持ち帰りされた石もあります。

丸太が3本用意されています。転がっている大きな石を中庭の中心に移動するために必要な丸太です。

丸太の柱頭に縄が巻かれています。

玄関ポーチです。木船さんから、平板をどこに据え付ければよいか聞かれたので、玄関前に配置してほしいと伝え、この位置に決まりました。

2011年9月29日

3本の丸太を組み、チェーンとベルトを石に巻き、石を配置します。

右の方が、庭師の木船さんです。

庭石は、ぜんぜん減りません。

この石は、中庭には合わなかったのか、裏庭の見えないところに据え付けられました。

2011年10月8日

1週間ほどあきましたが、庭仕事再開。

引き続き、別の石を配置します。

延べ石が搬入されます。1本運ぶのに4人がかかりです。

中庭まで持ってきて、石を据え付けます。

位置を決めて順番に石を据え付けます。

見返しです。この段階では、まだあの美しい庭になるとは想像できません。

2011年10月22日

庭石をすべて配置する前に、メインの樹木を植えます。

いちばん重要な木なので、木船さん自ら位置決めと向きを決めています。

一方で、道路側の樹木と石の据え付けが始まっています。

樹木の位置を決め、真土に石を据え付けます。

2011年10月26日

道路側の樹木は、軒下に植えます。石を積み、土を盛ります。軒下に樹木を植えると、雨が当たらないので枯れやすいという話を聞いたことがあるのですが、木船さんは、あえて軒下にたくさん樹木を植えます。

地面のグレーチングは、駐車場の土間代わりです。グレーチングの継ぎ目には、溶接されたフレームがセットされ、グレーチングが波打たないようにしてあります。

東隣境界の樹木です。手前の変わった手水鉢は、玄関ポーチ前に配置します。

隣家の雨水排水口が石積みに埋め込まれています。これを隠すために、石を据え付けます。この排水口から流れてくる雨水は、手水鉢に繋がり、手水鉢に水がたまります。

中庭の石の配置が決まりました。和室の基礎が浮いているのをみて、ここに池をつくろうということで、池ができあがりました。木船さんのアイデアです。

モルタルで防水をする前に、排水用の管を埋め込みました。2019年11月現在、写真上にある竪樋の雨水を使用し、池に水を貯めています。

リビング側の延べ石です。少し段差をつけ、靴脱石にされました。

隣家側の石積みを隠したいということから、こちら側に石を積んでいきます。モルタル目地がどうしても嫌だったそうです。

中央の石が積んでいないところには、水道管を持ってきて、石の隙間から水が流れるようになっています。

裏庭から玄関方面をみています。和室から見える樹木もこの段階で配置決めされました。

2011年11月2日

中庭が、おおよそ完成しました。すでに家は完成していたので、住まい手も入居されています。この段階では、まだ池に水ははっていません。

10月30日、31日に見学会を開催したので、なんとか形になるように間に合わせてくれました。苔はこれからです。

2階からみると、まだ樹木もそれほど大きくはありません。

玄関です。杉苔が置かれています。右手の樹木は、カツラの木です。

建物際の石積みと樹木です。モミジは、成長が早いようで、ぐんぐん伸びます。それが枝垂れることでとても美しくなるとのこと。

2011年11月16日

中庭は、ほぼ完了です。11月なので、葉がつくのは、次の年の春です。

石積みも完成。樹木も色づいています。

池の水が少しだけ入りました。

カツラも紅葉が始まりました。

すぎ苔と地苔を植えています。杉苔は、根付くか難しいらしく、数年後どうなっているかわからないようです。

石のモニュメントです。ワンポイントが聞いています。木船さんがお亡くなりになってからは、この石を作ってくれた庭師さんが、樹木の手入れをしてくれています。

グレーチングの隙間は、土を敷き詰めてあります。地苔が根付けば、徐々に苔が広がっていくそうです。

延べ石の隙間に杉苔が植わっています。

植えたばかりなので、なんだかみずみずしく感じます。

手水鉢です。水が貯まるので、入居後は、ここでメダカを飼われていました。

2013年3月19日

1年半後の庭です。苔も広がってきました。

池は、メダカが泳いでいます。メダカがいるので、ボウフラが湧いても安心です。

2013年11月11日

木船さんがお亡くなりになり、最後に手入れをしてくれたあとの庭です。色鮮やかです。2年後でこの美しさ。このまま、木船さんが手入れをしてくれたら、5年後どうなっていたか。楽しみでもあり、残念でもありました。

雨が振っても、美しい庭。

和室からです。

リビングからです。

2011年10月に家ができてから、2年経過しました。

いくつもの賞を頂いたのは、庭をここまで育ててくれた木船さんと住まい手のおかげだと思っています。

ありがとうございました。