土間床等の外周部の線熱貫流率の算出プログラムを試してみました。(2022/04/22更新)
2022/04/22 更新 土間床等の外周部の線熱貫流率の算出プログラム Ver.3.2.0
土間床等の外周部の線熱貫流率の算出プログラム Ver.3.2.0 が2022年4月1日にバージョンアップされ公開されています。
ですが、
「当該計算方法は、計算の前提となる環境設定等の条件により求まる値が大きく変化するとともに、その妥当性の判断を一般的な建築技術者が行うことは困難であるため、当面の間は当該計算に係る有識者等の専門家又は専門機関の認める範囲内で用いることができる。」
とあり、実務者が使うことは当面の間はできないようです。たしかに、審査機関も実務者もこれがあっているのかどうかわからないので運用上は難しいでしょうね。
ただ、基礎の計算を、実務的な意味として、勘所をつかみたいのであれば、定常二次元伝熱計算は役に立ちそう。。
2022/04/22 更新 定常二次元伝熱計算により算出した代表的な仕様の計算例の値を用いる方法
温暖地と寒冷地の場合の例が示されています。下表は、温暖地の場合の数値です。以前公開されていた情報より、数値がよくなっています。底盤910mm以上とし、断熱材の熱抵抗を抑えておけば数値が出せます。
・底盤910mm
・カネライトE3 60mm 熱抵抗2.143m2K/W
なので、 線熱貫流率 ψ0.55 W/mK となります。
以前の計算(基礎高さ400mmのルール)だと、同仕様で、線熱貫流率 ψ0.41 W/mK です。
新しい計算になると、線熱貫流率 ψ0.55 W/mKに、基礎高さの熱損失を加わるのでさらに数値が悪くなります。なかなか厳しいです。
定常二次元伝熱計算も申請上は使えなさそうですし、当面は、基礎400mmのルール使う方がよさそうか。でも、新しいルールで計算する方が現実とあっているので・・。なかなか悩ましいところです。
2021/06/15 更新
2021年4月から運用される予定だった基礎の計算プログラムは、まだ開始時期が未定です。
サポセンに問い合わせをしたところ、旧基準の基礎高さ400mmのルールが当面の間使用できるので、それで計算をするのがよいとのことです。
土間床等の外周部の線熱貫流率の算出プログラム Ver.3.0.0β
出典:https://house.lowenergy.jp/program_beta
※適用開始時期は未定です。
ちなみに、基礎形状によらない値を用いる方法ですが、
外部に面する場合は、温度差係数1.0、室内側の床下に面する場合は0.7で見てもよいようです。
基礎立ち上がりを外壁として計算する場合も同様に、温度差係数を見てもよいそうです。
基礎の底盤全面に断熱材を敷き込むか否か判断しないといけないような状況になるなら、はやめに仕様変更して進めていきたいところです。
はやくWEBのプログラムできないかな。。
2020/11/02 更新
2021年4月から運用される基礎の計算プログラム・時期更新版は、こちらにアップされています。
住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム
https://house.lowenergy.jp/new_beta
まずは、「基礎断熱時の基礎および土間床等の外周部の熱損失の評価について」に、プログラムを使わず計算する方法が2つほど紹介されているので、こちらを確認してから、プログラムを触ってみたいと思います。
1、基礎形状によらずに使うことができる値を採用する方法。
GLから土間床面の高さによって、数値が変わります。これは簡単。高ささえ把握できれば数値が出せます。
- GLから土間天まで50mm以下なら、1.57(W/m・K)です。
- GLから土間天まで-5000mm超なら、3.50(W/m・K)と、深くなればなるほど、熱の損失が増えます。
簡単だけど、断熱時の有無が計算に考慮されないので、熱損失増えすぎ。。もう少し正確に算出したいところです。
2、表から値を選択する方法
次は、表から選択する方法。少し難しくなりますが、断熱材の熱抵抗さえ把握していれば簡単。定番の仕様が決まっているなら、それを使いまわせます。
ポイントは、K(立上断熱材の熱抵抗)とN(底盤断熱材の熱抵抗)とM(底盤断熱材の水平長さ)です。この3つさえ決めれば数値が出せます。
立ち上がりと底盤の断熱材が同じ素材であれば、KとNが同じになります。
K:1.25(㎡・K/W)
N:1.25(㎡・K/W)
折り返しは、M:900mmとすれば、あとはどれだけ長くしても数値は一緒です。
結果、ψ1.19(W/m・K)となります。
ポイントは、基礎の立ち上がり部分は、壁の熱損失で計算することになったので、主に底盤の断熱性能が数値化されているということです。なので、Kをあげてもψは、数値の変化が少なく、一番大きな差で0.09(W/m・K)です。
底版を意識して数値を見る方がよいですね!
3、Webプログラムを用いる方法
3つ目がWebプログラムを用いて計算をします。
「WEBアプリ:土間床等の外周部の線熱貫流率の算出プログラム Ver.3.0.0β」という個所をクリックするとプログラムが立ち上がります。https://ground.beta.lowenergy.jp/
※下の方に、5月頃に描いた記事がありますが、土台を含めて計算を試してみたので、正確な数値はでていません。
入力は、簡単です。グリッドを全部50mmに変更し、適宜必要な箇所のみ数値を変更しました。この方が入力間違いすくなそうです。
・基礎芯とGL、土間床上端は、自動でライン化されますが、手動でも設定できます。
・断熱材を追加してみました。素材の熱伝導率を入力すればOK。
※下のプログラム「心」になっています。建築の図面は「芯」が正解。
右上の計算ボタンを押すと、ψ0.49(W/m・K)とでました! 前述の1と2の計算方法よりも、ものすごく数値が良くなります。入力簡単なので、これは使った方がいいですね。
左上のボタンを押すと、以下のように計算結果の仕様がPDFが出力されます。
文字が重なって少しわかりにくいですが、これを審査機関に提出すればOKっぽい。
※グリッドを50単位にしたのですが、下図、(1)と(5)の数値が20000になっているのは、仕様っぽいですね。
断熱材を消してみました。無断熱です。
計算結果は、ψ1.11(W/m・K)ですので、相当損失が増えます。
PDFは、下のように印刷されました。今度は、文字も重ならずしっくりくる図になっています。
2020/11/02 まとめ
1、基礎形状によらずに使うことができる値を採用する方法。
2、表から値を選択する方法
3、Webプログラムを用いる方法
をそれぞれ試しましたが、しっかり断熱材を付加しているなら、WEBプログラムを使うのがオススメ。
無断熱で計算が面倒なら、上記1か2でもいいけれど、やっぱり、数分で計算できるWEBプログラムを使うのがオススメかな。
大学の授業は、オンラインになったので、オンラインを活かしてWEBプログラムでやってみようかと思ってます。。
2020/05/28 までの情報
2021年4月から、土間床等の外周部の熱損失と基礎の熱損失は別々に評価することになるそうです。詳細は下図のとおり。
400mmという数値に縛られて、GLから基礎天まで400mmという納まりになっていた人も多いのではないかと思います。基礎パッキンの関係で、基礎高さ420mmとなり、20mmを外壁として計算していたことも少なからずあり。。
また、土間に出入りする出入り口は、FLから下になることが多く、開口部の面積はそのままで、外壁の面積を調整したりと、なんだかややこしい計算をしなければいけなかったのですが、改善できそうです。よかったよかった。。
線熱貫流率ψは、エクセルで計算していましたが、2021年4月以降は以下から選択するそうです。
① 基礎形状によらずに使うことができる値を採用する方法
② 表から値を選択する方法
③ WEB プログラムを用いる方法
3のWEBプログラムが興味深かったので、早速、公開されているβ版で、基礎断熱 熱平衡計算プログラムを動かしてみました。
https://ground.beta.lowenergy.jp/
ψ(ぷさい)値
下表のように、熱伝導率0.028W/mKの断熱材50mmを、立上と底盤に設けて計算すると、ψ0.45W/m・Kです。
折り返しは900mmまでと決まっていましたが、WEBプログラムを使うことで詳細な計算ができるようです。
前述で、土間上は外壁とみなすことになったので、外壁の熱損失が増えます。これまでの計算結果と同じような数値になるのであれば、このWEBプログラム結果は、小さな数値がでるような気がするのですが、どうでしょうか。
試してみたいと思いますが、とりあえずは、これまでのψとWEBプログラム結果ψとを比較しない方がよさそうです。
WEBプログラムβ版 シミュレーション
まずは、一般的な内断熱で検討。
下図、結果ψ0.95です。単位の表記がないので、率なのか抵抗なのかわかりませんでした。単位書いて欲しい・・・。
※土台を描いてみましたが、なんだか計算結果が変な気がします。本当は、土台なしで計算する必要がありそう。。。
均等ビューでみた初期状態です。これに緑色の断熱材をプロットしています。
コンクリート厚150mm、基礎GL+450、基礎深さGL-250です。U1は、土台ですが、土台をいれていいのかは不明。断熱材は、厚50mm、熱伝導率0.028W/mKで統一です。
(※基礎高さを間違えて、GL+450mmにして計算してしまったのでご注意ください。いつもは、GL+400mmです。)
土台をコンクリートに変えてみました。
結果ψ-0.45です。マイナスになりました。。これだけ数値がかわるのはなんだか変なので、土台部分の仕様は、ルールが必要そうです。
結果ψ0.87です。土台部分をコンクリートにし、基礎内断熱とし熱橋なしで張り上げました。これは正常な数値っぽいです。
結果ψ1.35です。基礎内断熱を取りやめてコンクリ―トだけにしました。これも正常な数値っぽいです。
この図以降は、試しに土台ありで検討してみました。おそらく、土台を入れて作図してはいけないのかと思いますが、どんな数値になるのか気になるのでやってみました。
結果ψ0.68です。基礎内断熱とし、底盤部分すべてに断熱材を張りました。
次は、結果ψ0.98です。断熱なしでもこの結果。ほんと?
次は、結果ψ0.93です。基礎内断熱とし、外部地面下外断熱をしてみました。
次は、結果ψ1.12です。基礎内断熱とし、底盤部分は、基礎下すべてに断熱材を埋め込みました。
次は、結果ψ0.94です。基礎外断熱とし、底盤部分は、断熱材なしです。
次は、結果ψ1.0です。先ほどと同じ仕様です。土台まで外張りにしてみました。なぜか数値が悪くなります。
次は、結果ψ1.28です。外断熱とし、GL上にシロアリ点検用のあごを設けました。
次は、結果ψ-0.43です。外断熱とし、土間上にシロアリ点検用のあごを設けました。数値がすごいかわります。あごの位置がとても重要。でもこれはあっているのか??です。
次は、結果ψ-0.21です。外断熱とし、基礎天付近にシロアリ点検用のあごを設けました。これもマイナスになりました。
次は、結果ψ1.38です。あご(基礎立ち上がり面から120mm)をつくり、基礎立ち上がりに外断熱です。
次は、結果ψ0.95です。先ほどと同じ条件で、外断熱をやめました。
次は、結果ψ0.63です。あごを伸ばしました。コンクリート基礎面から520mmです。基礎立ち上がりは断熱なし。基礎底盤下すべてに断熱材を埋め込みました。
次は、結果ψ0.94です。先ほどと同条件ですが、基礎底盤下の断熱材をすべて取りやめました。断熱材はありません。うーーん。
次は、結果ψ1.43です。コンクリートスラブを伸ばし基礎面から750mmとしました。基礎立ち上がりだけ内断熱としました。
次は、結果ψ1.1です。先ほどと同条件で、基礎底盤に断熱材を敷き込みました。
次は、結果ψ0.68です。先ほどと同条件で、基礎底盤の断熱材を内断熱としました。
次は、結果ψ29.68です。床断熱と基礎断熱の間の基礎をイメージしましたが、数値がものすごく大きくなったので、こういったイレギュラーな計算はできないのかもしれません。
次は、結果ψ0.59です。一般的な基礎です。土間上に杉100角を敷き込みました。
次は、結果ψ0.59です。先ほどと同じ仕様です。青ラインを杉100角天に変更しましたが、数値はかわりませんでした。
次は、結果ψ0.32です。先ほどと同じ仕様です。土間天に断熱材を敷き込み、その上に杉60mm厚を敷並べました
次は、結果ψ0.66です。先ほどと同じ仕様ですが、立ち上がりに断熱材を張りました。先ほどの仕様より性能があがると思いきや・・・。
まとめ 2020/05/28
- これまで底盤は、立ち上がりから900mmまで断熱材を敷き込めばよかったのですが、土間底盤の断熱材有無によって、数値が大きくかわるような計算結果です。
- イレギュラーな入力をしたときに、その数値が本当にあっているのかどうかがわからない。審査機関の方もわからないだろうし、入力のルールが必要になりそうです。
- 操作が簡単で学生にもできそう。やりだすと止まりません(笑
- 5つぐらいで終わろうと思ったのですが、1マス変えると数値が変わることもあり、たくさんの検討をしてしまいました。
- 学生に、性能がいい基礎をつくろう!と課題あたえても面白そうです!!すごいの出てきそうです。