黒漆喰の下地は、モルタルか?漆喰か?表面の剥がれは黒漆喰の透湿抵抗が高いから??結露計算してみました。

マイカー通勤の恩恵で、コインパーキングから事務所までの通り道に素敵な蔵を見つけました。
黒漆喰の下地が一目瞭然です。軒裏にも黒漆喰を塗っていた形跡があり、かつ、黒漆喰が剥がれたり変色するとどうなるかがよくわかります。
 

拡大すると、黒漆喰は薄く塗っており、その下地が白の漆喰ということがわかります。
その白の漆喰も薄く塗られ、さらにその下地が見えています。
 

これが砂漆喰らしき素材。
砂漆喰は、屋根瓦の漆喰にもみられるように年月が経つと風化で漆喰の白が飛び、見た目はモルタルのような質感になります。
この壁は、まだ白が残っているので、風化が進んでいないようです。
  

くすんだ素材の下に漆喰らしき白い壁が見えます。くすんだ素材が土と仮定した場合、漆喰を塗ってから土を塗り、また漆喰を塗って、黒漆喰で仕上げていることになり、それは一般的にしない仕上方なので、土という可能性は低そうです。やはり、白の素材の上も同じ素材と考えるのが妥当です。

と、ここでふと疑問。

もしかしたら、漆喰の割れを軽減するために、白セメントに砂と水(以下、白モルタルとします)を混ぜて塗る方法もあるのかもしれない。
または、ドロマイトプラスターに漆喰を混ぜて塗っているかもしれない。番頭さんが、昔の外壁や軒裏は、ドロマイトプラスターに漆喰を混ぜて塗っていたという話をきいたので、もしかしたら。。

そうなると、表面の透湿抵抗が変わるので、黒漆喰とその下地の間がなにやら気になります。

いつやる?今でしょ!というこで、結露計算してみました。
 

蔵の下地が、漆喰vsモルタルでは内部結露する?しない?

6地域外壁、室内温度10度-湿度70%、外部温度3.1度-湿度70%で計算してみました。
(注意:地域や温湿度、蔵状態によって条件が変わるので、一棟一棟必ずチェックしましょう!)

土壁+砂漆喰+漆喰では、線が交差しないので、内部結露はしにくいという結果です。
 

次に、土壁+モルタル+漆喰で計算してみましたが、先ほどよりは若干悪くなりましたが、ほぼ変わらず。
モルタル塗っても、防露上は安心そうです。
 

最後に、土壁+砂漆喰+漆喰の上に、吹付(ペンキなど湿気をとめる素材を想定)をしてみました。結果、外部表面付近の線が近づきました。

外部からの雨水侵入はこれで防げますが、防露の観点からは、リスクが高まりました。
 

まとめ

  • 上記、シミュレーションは、仕様がかわると変化するので、一棟一棟必ずチェックする必要がある。
  • 砂漆喰とモルタル(1:2調合)では、倍程度も透湿抵抗の値が違うが、思っているほど変化はなかった。
  • 表面素材に湿気をとめるような素材を塗布した場合、雨水侵入は防げるが、塗布面と黒漆喰面に湿気がたまる可能性がある。
  • 蔵という性質状、室内で大量の水蒸気が発生することは稀であるため、外部からの雨水侵入により土壁にしみ込んだ水分がなにかしら表面材に影響を与える可能性がある。

「昔は、角叉などの自然素材の糊をつかっていが、今の漆喰は、自然素材系の糊(透湿抵抗高)を使っていないからはがれやすい」という結論になるかと思ったのですが、まだよくわかりませんね。もう少しリサーチしてみます。