まちや+こあ@京都大学が最優秀賞受賞!エネマネハウス2017

先週の土曜日16日は、エネマネハウス2017の結果発表&表彰式。私は、京都造形大大学院の合評会が東京であったため出席できず不参加でした。

結果は、なんと、京都大学の「まちや+こあ」が最優秀賞を受賞!!!

合評中に設計者仲間から吉報が届いていましたが、確認できたのは18時ごろ。。受信した時のドキドキ感がたまりませんでした。工務店さんからも喜びの電話があり、「結果残せてほんと、ほんと、ほんと、よかったね~!」と喜んでいました。

いや~。くどいですが、ほんとよかったですね。

なんといっても学生さんが喜んでくれたのが一番うれしいです。

出典:京都大学チームのフェイスブックより。

学生さんと村上先生。この場でドキドキ感を味わいたかったです。
<最優秀賞、京都大学>と表示された瞬間、たぶんガッツポーズしていただろうな。みんなで握手も。バンザイも!

 

自宅に戻ってから、建築家-隈研吾さんのコメントも動画で拝見しました。

「今までのこのプロジェクトとは全く違う空気感があって」というコメントでしたので、他の4モデルとは異質感があったのは間違いなさそうです。たしかに、他はハウスメーカー系が主体のモデルだったのに対して、京都大学は地場の工務店と職人、設計者が協力業者として入っていますし、少しスタンスが違ったおかげで目を引いたのかもしれません。私の知人の多くが京都大学のモデルを褒めてくれるので、「まあ知人だしな」と思ったりしましたが、結果はこのとおり、知人はやはり客観的に見ていたんだなと、いまさら納得。

出典:京都大学チームのフェイスブックより。

隈審査員から、真壁+VIP(真空断熱材)に将来性を感じたとのコメントもあり、販売数に伸び悩んでいたメーカーさんの後押しにもなったかな。今、面白い素材は、VIP、PCM、エアロゲルですね。なかでも、エアロゲルの可能性はすごい感じます。サンプルを少し頂いてきましたので、なんか面白いことできないかしばらく眺めてみようと思います。

モデルの実測結果は、今後、大学の先生と学生さんが論文としてまとめてくれるはずなので、それを待ちたいと思います。

 

まちや+こあ@京都大学チームの学生さんは、9人ほど。参加学生が多い他大学もありましたが、京都大学は少数精鋭です。提案時も建築時、一般公開時も、少人数でやりとげないといけなかったのがなかなか大変だったようです。

結果、他大学より模型は小さめ。模型が小さいとインパクトが弱くなるのですが、中間発表もプレゼンでうまくカバーしていたように思いました。最終プレゼンは、設計意図がとてもわかり易かったです。他大学のプレゼンも見てみたいところです。

出典:京都大学チームのフェイスブックより。

表彰式のあとは、まちやこあモデルで最後の晩餐だったそうです。次の日、晩餐の話は全く聞かないので、皆さん、記憶がなくなるほどはしゃいだのかもしれませんね!

学生さん、先生方、ほんと、おめでとうございました。協力事業者の皆さん、ありがとうございました。

 

さて、最後の晩餐も終わり、17日からモデルルーム解体へ。スカイビルを背景に、モデルはどんどん解体されていきます。外壁の板材もとても綺麗な材なので、もったいない・・・・。ですが・・。。

過去から未来へ学生さんの記憶をつなぎ、伝統と技術の伝承や経験をつむために学生さんに投資したと思うしかないですね!

以下、感じたことをまとめておきます。中間も最終プレゼンも聞いていないので趣旨と違うところもあるかもしれません。ご了承ください。

武庫女
パッシブを主眼においたモデル。メカに便りすぎない女性らしさがでたモデルだと感じました。可動式のトップライトは、操作が軽そうに感じたので女性も手軽に使えそうです。モデルルームだったので、案内をするためにトップライトや窓を常時閉めて保温できなかったのはちょっとかわいそうに思えました。あと、室内建具を動かすということは、隙間がおのずとでてしまうので、それがどれだけ温湿度に影響するのか少し興味ができました。土壁は、京都の佐藤ひろゆきさんが指導されたとのこと。さすがの仕上げでした。佐藤さんと学生さんがもっとガチンコで意匠を決めればもっとよくなったような気がしました。左官屋さんには、多少無理をいうほうがいいですね。

近畿大
カートリッジというアイデアは、5つのモデルの中で一番学生らしいアイデアだと感じました。カートリッジの実物モデルができるんで、学生が一番ワクワク感があったような気がします。このモデルは、2-3度訪問しました。実は、カードを取るのに夢中で、省エネアイデアの確認を忘れて・・・。さらに、カードもコンプリートできず・・。唯一記憶に残っているのは、近大イモと、入り口で案内をしてくれた学生。マグロに続いて、今度はイモか!って思わせるほどのインパクト。案内をしれくれた学生さんも個性的な方が多かったような・・。人選も、カードも、イモもこれは作戦かって思ってしまいました。一般公開中、近畿大に負けているかも・・。と思わせるほどのしつらえができたモデルでした。一般投票結果は、近畿大が一番投票数が多かったようです。

首都大
意匠と熱環境のバランスがとれていたので、個人的には、結構気に入っているモデルです。夏にモデルが建っていれば、効果がよくわかったように思いました。その可能性も含めて、このモデルを評価しないといけないですね。すのこの下には見たことがあるPCMが敷かれていました。すのこには、特に違和感を感じず見学できました。気になったのは、平屋で段差があるということぐらいかな。PCMの効き目はどうなのかは気になるところ。床に並べるのではなく、意外と垂直に立てたほうが良いのかも。すのこにはさむとか。パソコンのCPUの放熱板みたいなイメージ。入り口のルーバーや裏の蒸散フェンスも可能性を感じます。京都大除く、首都大のモデルが、意匠と熱環境のバランスが一番よく完成度が高いと感じました。太陽光と太陽熱集熱を行えるカスケードソーラーは、なんだかすごそうです。空気集熱暖房と同じような効果を生み出すのかな。透水保水セラミックタイルの効果も興味あり。夏だったら、評価は変わっていたんだろうな・・。第4回は、沖縄や鹿児島とかで開催し、夏型モデルをつくるというのもありなのかも。そういった意味でも首都大の貢献度は大きそうです。

早稲田芝浦大
鉄骨住宅を改修するという提案で、プロでも納まりに悩むところをうまくまとめあげたなという印象。あれだけ大きな窓を設けて、性能を良くしようという意気込みとチャレンジ精神がすごい。鉄骨の建物に中間領域を設けつつ断熱区画をし快適な環境をつくることができるんだ、と思わせる実物モデルでした。指向性蓄熱材を床下に設けていたのも、効果が気になるところです。ロッジアと屋根裏通気は、どういう効果をもたらすのか不思議さと可能性を感じました。夏に体感したいモデルでした。子猫がチップの上で遊んでいたインスタ映する写真が意外と効果的だったかも。案内冊子の出来が素晴らしかったです。

京都大
建物の規模は一番大きいかと思いきや、蓋をあければ、他モデルより小さめです。前2回のエネマネハウスにはなかった町家改修モデルということで、目を引いた感はありました。エアロゲルとVIPを使った断熱補強がこれまで実践されてこなかった新しい提案でした。町家を改修する際に、「白いコアを挿入する」というアイデアとイメージ画像が、おもしろさとインパクト性につながたったように思います。個人的には、エアロゲル三和土、真空断熱材による真壁改修、畳下VIP敷DIY、エアロゲル入り木製建具(漏気防止処理済み)、ガラス瓦ソーラー、断熱節水檜風呂が、チャレンジ精神を垣間見る提案だったと思っています。暖冷房設備は、特殊なものはなく、輻射式のPS暖冷房とエネファームです。PSは、やっぱり気持ちいいですね。そして、燃料電池(エネファーム)は、発電の効果が勉強になりました。

まとめ
今年は関西で開催なので、首都大と早稲田芝浦は、アウェーで少し不利だったかもしれませんね。そんななか、一般公開中は、学生さんがしっかり対応されていたのがとても印象的でした。設備機器は、学生さんから丁寧に説明を受けましたが、私の知識が不足し、やはりピンとこなかったです。おそらく、すごい効率が良い面白い装置が入っていると思われますが、モデルを見ても効果がわかりにくいので、なにか魅せ方を考えたほうがよいのかもと思いました。

実証実験中は、学生さんがモデルに滞在することで、モデルに愛着を持ってくれたのがよかったですね。学生さんが自分達のモデルだけではなく、他のモデルにかわりばんこに住んで使用量を競うというのもおもしろかったのかも。家庭によって、じゃぶじゃぶ使う方もいるので意外とリアリティがあってたのしそう。

エネマネ事務局の皆さんは、先生と学生、プロの皆さんを統括するような立場で、プロから厳しい指摘を受けたり、嫌な役をしなければいけないことも多くご苦労もあったかと思います。実証中や一般公開中に、学生さんに対して、色々とフォローをしていただいたみたいで、学生さんも最後までなんとかやり遂げることができました。ほんとうにありがとうございました。

エネマネハウス2017結果発表はこちら。