重量鉄骨3階建て外皮計算を実践。改修前後の比較。

重量鉄骨の外皮計算(断熱性計算)を実践中です。以下、忘備録&難しいお話なので、興味が無い方はスルーで!

改修物件なので、改修前後を評価することになり、難易度がいっきにあがります。

特に難しいのはこの補正熱貫流率の部分。C型の鉄の間柱がなく、木で下地を組んでいる場合(間柱)はどう計算するのか?

実は、鉄のC型であろうが、木の間柱であろうが、断熱補強(外装材+断熱補強材)の計算の仕方は一緒です。(省エネサポートセンター確認済み180425)

 

ということで、こちらが補正熱貫流率の計算。

外装材と断熱補強材の熱抵抗から、鉄骨造の補正熱貫流率Urを算出しています。内外の熱伝達抵抗は数値に含まないので注意が必要。

ALC100mmは、0.526m2K/Wですので、外装材+断熱補強材の熱抵抗は0.52m2K/W—->結果、表より補正熱貫流率Urは0.4W/m2Kとなります。

その補正熱貫流率Urを性能値に加味すると、ご覧の通り。熱貫流率が1.88K/m2kと、ひどい数値。壁は、0.53K/m2kが基準値なのですが、断熱補強をすることでその数値まであげることができるのか・・・疑問。

 

グラフにするとこうなります。壁の熱損失が約50%を占めます。窓で25%ほどなので、壁と窓だけで、約75%の熱が逃げていることになります。

既存の鉄骨住宅は、木造住宅の間隔で計算していると、断熱性能ぜんぜん足りないことになるかもしれないので注意が必要です。

 

既存の外皮性能の結果は、UA=2.5W/m2K、Q=7.65~8.77W/m2Kとなりました。

築20年ほどの住宅なのに、これはへたしたら木造よりも悪いことになるのでは・・。

 

断熱改修後の結果は、UA=0.57W/m2K、Q=2.07~2.37W/m2Kとなりました。

鉄骨の熱橋がいかに不利な条件なのかよくわかりました。熱橋をなくして全面断熱改修しないと、数値が基準値になかなか到達しません。

この評価方法のまま省エネ義務化になったら、室内に鉄骨アラワシはできなくなるような気がします。。

 

断熱割合は、下図のとおり。柱と梁を全面断熱したので、線熱橋は0になりました。実際は、完全に断熱できなさそうなので、もう少し悪い数値になりそうですが。

 

 

最後に線熱橋の計算です。鉄骨の柱は、平面上は、点で計算することになります。なので、角の柱が、南と東に面している場合、線熱橋は、南だけで計算することになります。東と北に面している場合は、東で計算をします。なので、下の表は、北面の柱は、空白になっています。

結局は、柱や梁を全て断熱してしまうと熱橋がなくなるので、計算上は損失が0になります。

 

あとは、鉄骨の結露問題と通気層の有無をどうするか判断してから、実施設計スタートです。

吹付けが良いのか、フェノール内張りが良いのか。今後のこともあるので、ここはしっかり仕様を決めておこうかと思います。